【10/13大会】ONE黒星デビューを回想、エディ・アルバレス”王者”の心構え

American martial arts legend Eddie Alvarez walks to the ring in Manila, Philippines

エディ・アルバレス(米国)は、1013()に東京・両国国技館で開催されるONE: CENTURY 世紀」の第1部、「ONE: CENTURY PART Iで、ONEライト級世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦に出場し、ザイード・フセイン・アサラナリエフ(トルコ)と対戦する。

16年にわたるキャリアがあり、ライト級世界王座を何度も獲得してきた、“ジ・アンダーグラウンド・キング(地下格闘王)”ことアルバレスは、ありとあらゆる逆境も経験してきた。中でも、ONEデビュー戦は悪い意味で忘れられないものとなった。

今年3月の「ONE: A NEW ERA  新時代」でロシアのパワーストライカー、ティモフィ・ナシューヒンと対戦したアルバレスだったが、乱打戦の末、第1ラウンド4分5秒でフィニッシュされてしまったのだった。

攻防の中で目に裂傷を負ってしまったアルバレス。試合途中からは、勝つことよりもサバイバルすることに意識がシフトしてしまったのだという。

「まぶたが上から下に、真っ二つに避けてしまった」とアルバレスは振り返る。

「目が半分に割れてしまったのかと思ったよ。目に空気が入ってくるのが感じられるんだ。これまでの自分は、試合中にどれだけダメージを受けても、勝利への執念を捨てたことは一度もなかった」

「しかしあの日に関しては、とにかく自分の身体が非常に大きな危険にさらされていると感じた。あの一発を食らった直後、自分の気持ちが『ああ、どんなダメージを受けたのかは分からないけど、早くどこかに行って治してもらわないと、今後もう格闘技をできなくなってしまう』というふうに切り替わってしまった」



当初は重傷とも思われた目の裂傷だったが、米国帰国後には順調に回復した。

長年の格闘技人生を通じて重ねてきたケガの1つ1つを、アルバレスはよく覚えている。今回の傷は見た目はひどかったのだが、浅い切り傷で、過去に長期欠場に追い込まれたヒザの負傷のように深刻な状態でなかったことは不幸中の幸いだった。

「まあ、負傷箇所は目だけだったからね。足も手もまだついているし、肩も回る」とアルバレスは語っている。

「走ることも泳ぐこともできた。シャドーボクシングだってやっていた。ケガとしてはそれほどキツいものではなかったんだ。視力はまだ両眼とも1.0で、後遺症は何もない。一時的な故障で済んだ」

Eddie Alvarez with Angela Lee and Demetrious Johnson at the 'A New Era' Press Con in Japan

「自分は常に、物事の明るい面を見ようとしているからね」

これまでのキャリアでも、こうした姿勢で逆境を乗り越えてやってきたからこそ、アルバレスはいつもケガを治して、より一層強くなって戻ってくることができたのだ。

アルバレスは、自分で自分にがっかりすることだけはしないようにした。何しろ次の試合は汚名返上の大チャンスなのだ。

「ベルトがあろうとなかろうと、自分こそがチャンピオンだと思っている。自分は高いレベルの意識を持ち続けているんだ」とアルバレスは言う。

「毎朝目が覚めると、自分に言い聞かせる。自分には高いレベルでやるべきことがある。自分には達成したい目標もある。責任もあるし、義務もある。自分はチャンピオンにふさわしい高いレベルの意識を持ち続けている」

「チャンピオンはそんなに負けてはいけない。世界最強の相手と戦えば負けることもあるが、負けをしっかり受け止めないといけない。自分はそんなふうに人生を歩んできた。毎回勝つと約束はできない。でもそんなには負けない」

Eddie Alvarez enters the Mall Of Asia Arena with the American flag draped around him

ナシューヒンには手痛い黒星を喫したものの、アルバレスはずっと前を向いたまま、元ONEライト級世界チャンピオン、エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)戦に向けた合宿に入った。

実はその前の合宿で、アルバレスは新しいスキルを習得したので、ナシューヒン戦ではそれを実戦披露するつもりだった。

「試合前には4、5か月ものトレーニングを積んで、かなり強くなっていた実感があったからこそ、ティモフィ(ナシューヒン)戦敗戦は残念だったね」とアルバレスは述べている。

「まず、自分の悪いクセを修正した。フットワークもうんとよくなったし、その他の多くの点で上達した。だからティモフィ戦では、いったん下がって相手の勢いをそぐのではなく、自分がファイターとしてどれほど強くなったのかということだけを考えてしまっていたわけだ」

「自分のキャリアを、たった一夜の数分間のパフォーマンスでは決めつけたりはしない。そんなことで歩みを緩めたりはしない」

Eddie Alvarez locks up the rear-naked choke on Eduard Folayang

今年8月にフィリピンで開催された「ONE: DAWN OF HEROES」で、アルバレスはフォラヤンとの真っ向勝負を制して有言実行してみせた。

ドラマチックな試合でもあった。試合開始後90秒、フォラヤンの強烈なローキックに、アルバレスはキャンバスに倒れ込んでしまったのだ。

フォラヤンはグラウンドでの打撃で追撃したが、アルバレスは冷静さを失わず、フォラヤンと体勢を入れ替えると、バックを取ってリアネイキッドチョークで締め落とした。

「本当に自分らしい試合だったね」とアルバレスは振り返る。

「まずちょっとやられて、ダメージとピンチを何とか対処して、そこから逆襲に転じる。集中力を保ったまま、勝つための方法を見いだすんだ」

American martial arts superstar Eddie Alvarez stares at the Manila crowd following his win over Eduard Folayang

そして今、アルバレスは「ONE: CENTURY PART I」でアサラナリエフに勝つための方策に意識を集中させている。

この試合で勝てば、アルバレスはONEライト級ワールドグランプリチャンピオンになり、現ONEライト級世界チャンピオン、クリスチャン・リー(シンガポール)への挑戦権を獲得する。

それこそがアルバレスの目標の実現であり、ようやくONEチャンピオンシップでの至福の時間を迎えることになるのだ。

東京・両国国技館 | 1013 ()  | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)

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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。
複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。

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