【2/28大会】エジプト総合格闘技の先駆者、シェリフ・モハメド

シェリフ・モハメド（エジプト）は総合格闘家として成功するという揺るぎない意志を持っている。

総合格闘技がまだ盛んではない国の出身であり、最初の試合では苦い敗北を味わったものの、努力と献身によりエジプト国内でトップに立ち、世界の舞台で活躍するチャンスを掴んだ。

２月28日（金）にシンガポールで開かれる「ONE：KING OF THE JUNGLE」で、秋山成勲を相手にキャリア最大の試合に臨むのを前に、37歳のモハメドのこれまでを振り返る。

挑戦を求めて

現在37歳のモハメドは父親と母親、そして兄でかつてONEチャンピオンシップで活躍したヒーローのマフムード・モハメドと共に育った。

両親、特に政府の役人だった父親は厳しかった。兄は学業に熱心ではなかったが、モハメドはいつも勉強に焦点を当ててきた。

「大変だったが、なんとか勉強を終えてビジネススクールを卒業した」

若い頃にブルース・リーを見て以来、モハメドはいつも格闘技に興味を抱いてきた。そして試合で自分を試したいという願いを抱いていた。

若い頃にグラップリング（組み技）のスキルを身に着け、モハメドは2010年代初めにエジプトの有名ジム「Egyptian Top Team」で兄と総合格闘技のトレーニングを始めた。

「既にレスリングのバックグラウンドを持っていたから、ある日、自分自身を試してみることにした。それが総合格闘技のキャリアの始まりだった」

「総合格闘技を選んだのは、挑戦したいという本能だった。総合格闘技は決して簡単なスポーツではない。真の戦士としての精神が必要であり、それが自分の中にあると信じている」

初めての敗戦

総合格闘技のトレーニングを始めてわずか数か月後、モハメドはプロデビューして自分のスキルを試す準備ができていると感じだ。

総合格闘技は2012年のエジプトではまだ初期段階にあったため、デビューする場所は１つしかなかったと言う。2011年に活動を始めた「エジプシャン・ファイティング・チャンピオンシップ（EFC）」だ。

モハメドはグラップリングには自信があったが、他のスキルやコンディショニングで劣り、第２ラウンドでTKO負けを喫した。

「レスリングをバックグラウンドとして使ったが、それだけでは不十分だった」

「デビューをはっきりと覚えている。15分間の試合に慣れていなかったから、少し大変だった。試合中、最大の課題は心肺機能だと感じた」

モハメドはがっかりしたが、やる気は失わなかった。すぐにコーチと協力してトレーニングに打ち込み、成長した選手として帰ってきた。

「敗北に浸かる意味はない。デビュー戦で負けた時、２日後にジムに戻り、やるべきことに取り組んだ」

チャンピオンへの道

モハメドが次の試合に臨んだのは約２年後の2014年３月だった。強い意志と努力により、全く別人になって戻ってきた。

今回は借りを返し、第１ラウンドでノックアウト勝ちしたのだ。

「最高にうれしくて興奮した。初めて試合に勝った瞬間は本当に特別だった」

だがそれはほんの始まりだった。再び勝利を掴めるよう、モハメドは前回と同じようにすぐにジムに戻ってさらに厳しいトレーニングを積んだ。そして５月の初めに、１晩で２度、第１ラウンドでのTKO勝ちを決める。

さらに６月の試合では、第３ラウンドまで持ち込まれたものの、再びノックアウト勝ち。これによりEFCのタイトル戦への挑戦権を獲得し、タイトル戦ではわずか２分余りでアナコンダ・チョークによるサブミッション勝ちでチャンピオンに輝いたのだった。

モハメドはさらに３試合でサブミッション勝ちを収めたが、2015年の終わりに一旦、選手としてのキャリアに区切りをつけて、引退した時に生計を立てられるようにと「The Shark Gym」を立ち上げた。

自身のトレーニングに取り組みつつ、さらに新しいジムにもかかわり、人生の他の多くの分野で犠牲を払わざるを得なかった。だがモハメドは、これまでに選手として成し遂げてきたこと、そして総合格闘技の振興に関わってきたことに満足している。

「とにかく、別の道を選ぶことなないだろう」

「エジプトの総合格闘技の歴史は浅い。2010年に始まったと思うが、まだ成長段階だ」

新たな活躍の場

試合から２年間遠ざかった後、モハメドはONEチャンピオンシップからスカウトされた。エジプトで総合格闘技の認知度を高める絶好のチャンスと思い、モハメドはすぐさまオファーを受け入れた。

「これは特別なものだった。より強いファイターがいることは知っていたし、ONEには自分が注目していた有名選手たちが参戦していた」

「一流のアスリートが参加する大規模な団体だ。これは自分にとって本当の試練になるとわかっていた」

モハメドは今、世界最大の格闘技団体で３度目の試合に向けて準備を進めている。総合格闘技のアイコンとも言える存在の秋山を相手に、キャリア最大の勝利を挙げるために、全力を注いでいる。

これによりモハメドは、エジプトの選手が活躍できるのだということを世界に示し、若手の選手に道を開きたいと思っている。

「自分を含め、国際的に戦っているエジプトの選手はみんな、常に良いメッセージを伝えようとしている」

「エジプトには質の高いアスリートがいると示したい」

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