【10/13大会】ONE実況者「DJ戦、キンガッドのウーシューが鍵に」
ONEチャンピオンシップの英語版実況を担当する、スポーツ・コメンテーター、44歳のマイケル・スキャヴェロは28年に渡り、格闘技トーナメントの決勝戦を解説してきた。だが今回の東京・両国国技館で開かれるフライ級の試合ほど、歴史的なものはないだろう。
10月13日(日)の「ONE:CENTURY 世紀」の第1部でいよいよ、ONEフライ級ワールドグランプリ(WGP)の決勝が開かれる。対戦するのはこの2人。フィリピンの天才ダニー・キンガッドと、史上最高のパウンド・フォー・パウンド(階級を超越して与えられる最強の称号)として知られるDJことデメトリアス・ジョンソン(米国)だ。
この試合を解説するスキャヴェロは、世界中の多くのファンと同様にジョンソン有利と見ている。史上最高の総合格闘家の一人なのだから、当然だ。
だが予想もしなかったことが起きるのが格闘技だと、スキャヴェロは分かっている。
「キンガッドは総合格闘技史上、最も勝ち目の薄い試合に臨もうとしているかもしれない」
「(賭けが成立しないほどタイソンが有利と見られていた)ジェームス・ダグラスとマイク・タイソンとの一戦より、見込み薄かもしれない。でもその試合でタイソンは破れ、誰も予想していなかった番狂わせが起きたからね」
彼はこのウーシューとグラップリングの組み合わせにより、これまでに14勝1敗の戦績を挙げてきた。現在は6連勝中と波に乗る。
「キンガッドはこの試合で、デメトリアスがあまり慣れていないスタイルの打撃を見せるだろう」とスキャヴェロは説明する。
「ジョンソンはこの手のストライカーと対戦したことがない。12回もフライ級世界王者に輝いているジョンソンだが、ウーシューのチャンピオンと戦ったことはないんだ」
「つまり、ジョンソンが対応しないといけない要素がたくさんある。サイドキック、レッグキック、スピニング・バックフィスト、そしてパンチのコンビネーション、あとはフットワークもね」
「この試合のカギになるのは、キンガッドのウーシューの技術だろう」
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キンガッドはジョンソンがこれまで見たことのない特徴を持っているかもしれないが、それだけでは不十分かもしれないとスキャヴェロは見ている。
「ジョンソンが全力で来るだろう。彼は本当に完璧なファイターだし、フィニッシュを期待するだろう」
「しかし先ほど言ったように、試合では予想外の出来事が起こるものだ。それに大きな番狂わせはなぜか、いつも日本で起こるんだよ」
「キンガッドは頭を使って戦わないといけない。ウーシューと重いパンチを生かさないといけない。それにコーチのマーク・サンジャオの言うことをよく聞いいたほうがいい」
「ゲームプランを忠実に守ることだ。ジョンソンに倒されたり、捕まったり、落とされたりしないようにしないといけない」
ジョンソン側のゲームプランはもう少し簡単だとスキャヴェロは見ている。
「ジョンソンは第1ラウンドは様子を見にくるだろう。そして第2ラウンドで(キンガッドの弱点を見つけて)キンガッドを倒しに来る」
それでもスキャヴェロは、キンガッドを無視することはできない。キンガッドはチーム・ラカイと共に、人生最大の舞台に向けて入念な準備に取り組んできているのだから。
チーム・ラカイは下馬評を覆して勝利を手にしてきたこともある。その証に彼らはONEの世界タイトルを5つも持っている。再び番狂わせを演じることもできるはずだ。
「ジョンソン圧勝を世界中が期待している。だがもし、チーム・ラカイに期待できることがあるとすれば、彼らはきっと何かしてくるということだ」
「(対戦相手が)油断している時や、攻略法を考えついたと思う時、チーム・ラカイは戦略を変えてくる。キンガッドがサンジャオに耳を傾け、10月13日に戦略を調整してくることを期待している」
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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。
複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。