【10/13大会】フライ級WGP優勝のDJ「次は王者モラエスに挑戦」
DJことデメトリアス・ジョンソン(米国)の、ONEフライ級世界グランプリ(WGP)頂点を目指した長く厳しい戦いが決着した。もう彼は既に、次なるベルトに目を向けている。
ジョンソンは10月13日の「ONE:CENTURY 世紀」第1部に行われたWGP決勝戦で、ダニー・キンガッド(フィリピン)を下して優勝したばかり。ジョンソンは早くも、ONEフライ級世界王者アドリアーノ・モラエス(ブラジル)との試合を見据えている。
だがその前にまず、米・ワシントンに戻って戦いの疲れを癒すつもりだ。わずか半年余りの間に、強敵3選手を相手に立て続けに試合をこなしてきたからだ。
「今年は1年で3試合も戦ってきた。2013年以来だ。もう疲れたよ。やっとうちに帰って休める」
「これまでの相手は今回のダニー・キンガッドに加え、若松佑弥、和田竜光の計3人。みんな素晴らしい選手だった。最高の選手たちだ。勝てて本当にうれしい」
キンガッドはフィリピンの有名な総合格闘技ジム「チーム・ラカイ」に所属する、若くハングリー精神に溢れた選手だ。ジョンソンは強敵キンガッドを相手に、ONEに参戦して以降で最高のパフォーマンスを見せたと言える。
ジョンソンは準々決勝でダメージを負い、準決勝でもグラップリング(組み技)による攻防で無傷ではいられなかった。だが決勝戦が始まると、格闘技のレジェンドと呼ばれるにふさわしい万能な動きを見せ、キンガッドの好きにはさせなかった。
「そうだね、よくできたと思う。キンガッドやチーム・ラカイの選手たちは、ここぞというところで決めてくる。サブミッションやポジションを固められると見るや、一気に決めてくる」
「キンガッドがリース・マクラーレン(オーストラリア)や池田仙三と戦った試合を思い出してほしい。彼らはマウントしようとしたがポジションを維持できなかった。だから自分はキムラロック(腕がらみ)でのフィニッシュを狙おうと思った。いいポジションが取れるならもちろん維持するが」
ジョンソンは攻めたが、キンガッドをフィニッシュすることはできなかった。キンガッドの防御力の評価は高まったに違いない。
「組み合っていた時、自分はキムラロックにいこうとし、彼は抜けようとした」
「彼がキムラロックを狙いに来た時は、アームバーでやり返すだけだから構わなかった。でも最初にアームバーを仕掛けに行った時、彼は抜け出たんだ。ギロチン・チョークに行った時も抜けられた。まるで魚みたいだった!」
フィニッシュで終えることはできなかったが、ジョンソンは喜びを隠せない。
WGPのような、しかもアジアでのトーナメントに参戦することは、ジョンソンにとって若い頃からの夢だったからだ。
「小さい頃から総合格闘技のファンだったからね。初めて買ったDVDはミルコ・クロコップ(クロアチア)がジョシュ・バーネット(米国)と戦った『PRIDE 無差別級グランプリ』だったよ」
「自分は体がすごく小さいから、そういう大きな舞台で試合をするなんて、絶対に無理だと思っていた。この機会をもらったことを感謝しているし、とても光栄に思う」
WGP開催が発表された昨年11月。参戦する選手はその瞬間から、頂点に上り詰めた先に何が待っているのかわかっていた。それは輝かしい栄光のベルトだけではない。
優勝はすなわち、世界王者モラエスへの挑戦権をも意味するのだ。フライ級の世界タイトルを手にする絶好のチャンスだ。ジョンソンはモラエスとの対戦に向け、気持ちを昂らせる。
「次はもちろん、世界王者モラエスへの挑戦だ。彼はタフだしフライ級にしては体が大きい。偉大なグラップラーでもある。だからまずは出直して、彼の弱点がどこにあるのかを確認しないと。そうしたら後は、全力でぶつかるだけ」
「5ラウンド制の戦いになるので、自分にはすごく向いていると思う。相手を見極める時間が十分あるから、つけこむ隙を探すことができる」
だがジョンソンとモラエスの注目の対決は、おそらく2020年まで待たなければならないだろう。
「しばらくは休もうと思う。もし選べるなら、来年の2月か3月に試合がしたい」
「まずは体を休めて調子を整えることに専念する。それからまたトレーニングを始めるよ」