“世界最強”の証明に向けて ペトロシアン「前回とは違い、勝者になるのは私だ」
いよいよ、あの試合の再戦が果たされる。7月12日(金)にマレーシアのクアラルンプールで開催される「ONE:MASTERS OF DESTINY」で、ONEフェザー級キックボクシングワールドGP準々決勝、ジョルジオ·ペトロシアン vs ペットモラコット·ペッティンディーアカデミーの再戦が行なわれる。この試合は、本大会のメインカードだ。
両者は今年5月の「ONE: ENTER THE DRAGON」で対戦。ペットモラコットが首相撲を有効に使って判定2–1で勝利を収めた。しかし、この判定に対して、世界中の格闘技ファンの間で、論争が巻き起こった。ONEキックボクシングルールでは、相手を掴んでの攻撃が3秒以内と決められており、この試合でも首相撲から膝蹴りを出し続けたペットモラコットを、3秒経過ごとにレフリーが再三止めていた。
結局、ONEの競技委員会は「反則のクリンチが適切に裁かれていなかった」として、再戦となった。通常、判定が覆り、再試合が即座に行なわれることは稀だが、ONEの基本理念は「誠実、謙虚、名誉、敬意、勇気、規律、慈悲」にある。真の世界最強を決めるため、両者は再戦に合意し、クアラルンプールで相まみえる。
「判定に対して選手がどうこう言うべきではない。ただ、ONEの競技委員会が判定を覆したという事実に対して、従うのみ」ペトロシアンは、冷静にこの事態を見つめている。
「余計なことは考えずに、ペットモラコットに勝つことだけを考えている。そして、このトーナメントで優勝し、世界最強を証明したい。私が、やるべきことをやれば、全ては上手くいくはずだ」
ペトロシアンは、5月の試合のビデオを何度も観て、再戦に向けたプランを練った。当然のことながら、ペットモラコットが再び首相撲からの膝蹴りを執拗に狙ってくることは無いだろう。しかし、その動きを分析し、確実な勝利のために分析を怠らない。
「サウスポーのペットモラコットが素晴らしい選手なのは、このトーナメントに名を連ねている時点で明らかだ。簡単には倒せない相手。詳細を話す訳にはいかないが、既にこちらは準備ができている。前回の試合の反省点も踏まえて、試合で披露したいことはたくさんある。長所が多い選手だが、短所もある」
ワールドGPの優勝者には、賞金100万米ドル(=約1億730万円)が出る。しかし、ペトロシアンの目的はそれだけではない。トーナメントでは、本当に強い者しか勝ち上がることができないことを、世界の格闘技ファンは知っている。優勝すれば、まさに最強の証明になる。かつて、2度K-1ワールドMAXを制したペトロシアンだが、ハングリー精神は尽きることがない。
「ONEのトーナメントで勝つことは、とても価値があることだ。世界から選ばれた強豪しかいないトーナメントで、期間も長い。しかし、今は先のことを考えず、次の相手に集中したいと思っている。最高の準備をして、最高の自分を出すのみ」
そして、ペトロシアンは最後にこう付け加えた。
「前回とは違い、勝者になるのは私だ」