【10/13大会】白星発進のアルジャン・ブラー「目標はベラ」
「ONE:CENTURY 世紀」の夜の部、「CENTURY PART II」でのアルジャン・ブラー(インド)の試合は、ONEデビュー戦としては最高だったといえるだろう。
10月13日(日)、東京・両国国技館で、インドのヘビー級トップレスラーであるブラーはレスリングの技をほとんど使わず、打撃で勝負し、KOアーティストと呼ばれるマウロ・チリリ(イタリア)に勝利した。
明らかに、勝利への道として最も簡単なものとはいえなかった。だが、ブラーは目的を果たし、勝者となったことに満足している。
「自分が健康であることに感謝している。ひどい怪我もなく、家族のもとに帰れる。有難いよ」と、ブラーは言う。
「何にしても、試合は成功だった。とにかく打ち込んで、かわす。その応酬だった。最終的にはユナニマス判定勝ちを収めたことにとても満足している」
ブラーはコモンウェルスゲームズのレスリングで優勝しており、オリンピック出場経験もある。だが、巨漢のイタリア人、チリリは組み技の戦いに持ち込まれることをうまく避けた。
しかし、33歳のブラーは米・カリフォルニアのジム「アメリカン・キックボクシング・アカデミー(American Kickboxing Academy)」で磨いたストライクを有効に使い、何度もチリリの先手を打ってパンチを食らわせた。
ノックダウンはできなかったが、相手の顔には、多くのパンチを受け止めた跡がありありと残っていた。鮮烈なアッパーカットも何度か直撃した。
「チリリはとても強くスタミナもあったし、テイクダウンも何度か防がれた」と、ブラーは認める。
「だが、とてもいいパンチを何発か食らわせることができた。それでもチリリは攻め続けてきたし、勝利を目指していた。有難いことに、自分は素晴らしいトレーニングパートナーたちに恵まれたし、勝ち抜くだけの根性があったんだ」
「試合は常に大変だ。神経を研ぎ澄ませておかなくてはならない。自分は勝つつもりしかない。そのためにここにいる」
元ヘビー級世界タイトル挑戦者のチリリを倒したことで、ブラーは自動的にONEヘビー級世界王者を目指す戦いに一歩を踏み出したことになる。
ブラー自身、そして母国のファンたちも、インド人として初の総合格闘技世界王者に輝く可能性に胸を躍らせている。
「本当にワクワクしているよ。心からね。参戦したのは世界チャンピオンになるためなのだから」と、ブラーは語る。
「ブランドン・ベラを目指している。彼は故郷のフィリピンで、人々のために多くをもたらした。自分もインドと、インドの人々のために同じことをしたい。夢をかなえ、世界チャンピオンになりたいと思う。ベラのことは心から応援しているが、最終的には彼を倒すことが目標だ」
「すごく興奮している。ONEチャンピオンシップと共にインドを熱狂の渦に巻き込むつもりだ。『One Billion Strong』(「10億人のパワー」、ブラーのドキュメンタリー映画のタイトル)だ」
ブラーは次の試合で5ラウンドを戦い世界タイトルを狙う準備ができているとはっきりは口にしなかったが、機会があれば、確実に試合を受けるつもりはあるだろう。
「判断はコーチに委ねようと思う。もちろん、アスリートとして戦う理由は世界チャンピオンになるためだ。それが夢だ」と、ブラーは言う。
「トレーニングを続け、コンディションを整えておく。それが自分の仕事だ」