【7/6大会】柔術歴6年弱でルオトロと対戦へ、19歳の頭脳派チャン「クールな体験」

JozefChen 1200X800

7月6日(土)の「ONE Fight Night 23」では、サブミッション・グラップリング界で有数の急成長を遂げる19歳のジョゼフ・チャン(南アフリカ)がONEチャンピオンシップで待望のデビューを果たす。

タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで行われる同大会のノンタイトルのキャッチウェイト(186ポンド)マッチで、対するは現ONEウェルター級サブミッション・グラップリング世界王者タイ・ルオトロ(米国)。

チャンは競技歴こそまだ6年弱だが、ONE世界タイトルに2度挑戦したトミー・ランガカー(ノルウェー)をはじめとするブラジリアン柔術界のビッグネームを相手に勝利を挙げている。

こうした躍進を可能にした一因は、その頭脳的なアプローチだ。

チャンは試合の結果やONEでのデビュー戦で勝利すれば得られるであろう名声にはこだわらず、世界最高の選手を相手に実力を試す機会を楽しみにしている。そして、21歳のルオトロと今回の試合以降も対決する可能性が高いと思っているようだ。

チャンはONEチャンピオンシップにこう話している。

「相手が何を仕掛けてくるかは、おおむねわかっている。けれども、それに対して何が効果的か、効果的ではないかを試すには、実際に試合をするのが一番なんだ」

「相手もまだ若い。自分より少し年上だと思うけど、自分たちのキャリアで対決する機会はこれ以外にもあるはずだ。だから、自分がこれまで取り組んできたことを試すいい機会だと思っている」

チャンもルオトロも現代的でバランスの取れたグラップリングスキルの持ち主。どんなポジションからでも攻撃ができ、レッグロックやテイクダウンの技術も高度で、バックを奪うのも得意だ。

だが、そのスタイルは明らかに異なる。ルオトロは動きが活発なユニークなサブミッションアーティストであるのに対し、チャンはサブミッションを決めるための道筋をより理論的にコントロールする傾向がある。

チャンはこうした違いは両者の経験値の違いによるものであり、ルオトロはトレーニングで磨き抜かれた直感に頼っていると分析している。

「彼のスタイルは競技歴と、幼い頃から柔術をしてきたことによるものだと思う。自分は柔術を始めて6年になろうとしているから、あまり何をするべきかという直感はない。だから、こうした点が理論的とか、ゆっくりとしたアプローチと思われるような形になるんだ」

「一方で、彼は長い期間トレーニングをしているから、特定のポジションでやりたいことをよく理解しているように思う。だから、より直感的でダイナミックな動きが効果的なんだ」

経験の差はあれど、チャンも世界クラスのアスリートでルオトロにONE初の黒星を付ける実力があることは間違いない。

直近数ヶ月ではすでに印象的な勝利を多数収めており、この競技で最も尊敬を集める黒帯アスリートを倒しているのだ。

さらに、その無敵のパスガード技術を披露し、ランガカーの自慢のオープンガードも攻略した。これは、ルオトロの双子のきょうだいのONEライト級サブミッション・グラップリング世界王者のケイドがランガカーと20分間戦いながらもなし得なかったことだ。

このため、チャンはトップポジションを確保できるかが今回のルオトロとの試合の鍵を握ると考えている。

「この試合に向けて考えているのは、いま取り組んでいるいろんな技術を試すこと。だから、スタンディングポジションでは何が有効かどうかを試して、そこから勝負を仕掛けていくつもりだ」

「タイ(ルオトロ)からトップポジションを奪えれば、そこから勝てるかもしれない。一般的に、彼はトップから得意な戦い方をしたがる傾向にある。だから、彼が下になった場合、自分の戦略に有利になると思う」

ルオトロを「黄帯や橙帯の頃から尊敬」

「ONE Fight Night 23」を前に、ジョゼフ・チャンは、タイ・ルオトロへの手放しの賞賛を惜しまない。

チャンはブラジリアン柔術を始めたばかりの頃、すでにルオトロを尊敬していたと明かしている。

「タイは間違いなく、この競技で有数のエキサイティングで輝かしい経歴を有するアスリートだ」

「だから、彼の上手さやレベル以外にも、この試合が楽しみな理由があるんだ。自分が黄帯や橙帯だった頃から彼のことを見てきたんだから。こうした相手と戦えるのは、とてもクールな体験だ」

チャンは自身の急躍進については自分からは多くを語らないが、それにしても前代未聞の快挙だ。

インタビュアーに問われて、世界的な舞台で世界有数の選手であるルオトロと対戦する機会についてこう話している。

「現時点のレベルで戦えることをとても誇りに思う。自分は、ハイレベルな柔術のスキルを獲得したいと思っているから、この機会はとてもクールだと思う。試合は自分の柔術をすることの二の次だ。試合をして自分の柔術を披露すること、これが自分にとって幸せなことなんだ」

「長い間尊敬をしていた選手と対戦するのはとても素晴らしいことだ」

だが、試合となればスターへの憧れの気持ちから余計な重圧を感じてしまうようなこともないだろう。

チャンは過去数年間にわたって、他の一流アスリートと練習し、試合をしてきた経験もあるためだ。

「初めてというわけでもない。2年前に初めて米国に来て、多くの選手と一緒に練習をして試合をして、たくさんのことを学んできた。(ルオトロのような一流選手との対戦は)初めての経験じゃないんだ」

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