【6/10大会】元王者スーパーボン、復帰戦へ「二度と負けられない」
元ONEフェザー級キックボクシング世界チャンピオンのスーパーボン・シンハ・マウイン(タイ)は、今年1月に失ったタイトルを取り戻そうと決意している。王座陥落以来となる復帰戦の相手は、同級5位コンテンダーのタイフン・オズカン(オランダ / トルコ)。
両者は6月10日(土)にタイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで行われる「ONE Fight Night 11: Eersel vs. Menshikov」で対戦する。
スーパーボンは、「ONE Fight Night 6」のメインイベントでチンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン / ベラルーシ)にノックアウトされ、タイトルを失った。これがONEチャンピオンシップでの初の黒星でもあった。
現在、その際の戦いぶりを振り返り、謙虚な気持ちで進化への教訓とするつもりだという。
スーパーボンはONE編集部にこう話している。
「アスリートは負けることもある。だが、負けたときに立ち直り、出来るだけ早く戦いに戻らないといけない。そして次こそはもっと上手くやれる、と示すことが大切な責務だ」
スーパーボンが学んだ教訓のひとつは、細かい調整の大切さだ。これをアラゾフとの世界タイトルマッチを前に多少怠ってしまったようだ。
たとえば、通常タイのアスリートは夜に試合をすることが多い。だが、「ONE Fight Night 6」は北米のゴールデンタイムで生中継されたため、会場のタイでは午前中に試合があった。このため、スーパーボンは、体内時計の調整がうまくいかなかったことが敗因だと分析している。
スーパーボンはこう説明している。
「試合時間に合わせて調整しなかった。そして、前夜はよく眠れなかった。もちろん、スッキリした気分ではなかった。よく眠れなかったから、良いパフォーマンスができるかとても心配だった」
さらに、スーパーボンは謙虚な姿勢を見せ、タイトルホルダーとしての成功に満足していたとも打ち明けている。
何年も無敗をキープし、世界一のストライカーとしての地位を確立し、アラゾフがどれほど危険なアスリートかを見落としていたのかもしれない。
スーパーボンはこうコメントしている。
「別の敗因は、対戦相手を多少見くびっていたことかもしれない。彼のゲームプランは予想以上の良さだった。しっかり準備をしてきたということだ。自分は、過去5年間1度も負けておらず、自分の弱点を見落としていた。だが、負けて動画を見たら、自分の弱点がよくわかった。これが自分が犯したミスだ」
厳しい敗戦「モチベーションは相手より高い」
ONEフェザー級キックボクシング世界王座を奪還するには、スーパーボン・シンハ・マウインはタイフン・オズカンに負けるわけにはいかないだろう。
スーパーボンは同級1位コンテンダーで、すでに他の上位ランカー全員に勝っている。このため、「ONE Fight Night 11」でオズカンに勝てれば、理論上はチンギス・アラゾフとのリマッチにつながる可能性がある。
スーパーボンはこう話している。
「タイフン・オズカンは唯一戦ったことのないランカーだ。チンギス・アラゾフとのリマッチを実現させるためには、ランカー全員を倒さないといけない」
だが、スーパーボンが再び世界タイトルに挑戦するチャンスを得たとしても、少し待たされることになるだろう。アラゾフは8月の「ONE Fight Night 13」で、マラット・グレゴリアン(アルメニア)を迎え、フェザー級キックボクシング王座を防衛する予定になっているためだ。
スーパーボンにとって、この試合でどちらが勝つかは重要ではない。ただ、自身の名誉を回復し、再びタイトルに挑戦したいと望んでいる。また、オズカンは最近グリゴリアンに敗れているため、ここでスーパーボンが負ければ、タイトル挑戦は遠のいてしまう可能性もある。
スーパーボンはこう話している。
「自分はオズカンよりもハングリーだと思う。自分の方が厳しい負け方をしたからだ。タイトルを失い、練習の成果を披露する間もなくKOされた。今回はオズカンよりもモチベーションが高い」
「ベルトを取り戻し、ランキングの全員を倒したい。そして一番大事なのは、もう二度と負けられないということだ。もう後戻りはできない。もし負けたら、一瞬でこれまでに積み重ねてきたことを失ってしまう」