アライン・ンガラニ「アフリカはタレントが溢れている」
アライン・ンガラニ(香港)は、2013年のONEチャンピオンシップデビュー以来、ヘビー級で頭角を現してきた。しかし、ここで新たなタレントの出現により、カメルーン生まれのンガラニは、これまで以上に闘志を燃やしている。
打撃系格闘技で何度も世界チャンピオンになっているンガラニは、「格闘技の本拠地」ONEに参戦しているエリートグラップラーたちに対抗できるよう、スキルセットを磨き続けている。
ンガラニが独占インタビューに応じ、オマール・ケイン(セネガル)との直近の試合や、アフリカにおける総合格闘技の発展、ONEのケージ「サークル」で将来的に対戦するかもしれない同階級のアスリートたちについて語った。
ONEチャンピオンシップ: 直近では1月の試合でケインに負けた。この試合を反芻する時間は十分にあったと思うが、今振り返ってどう思うか?
アライン・ンガラニ: もちろん、いろいろなことが起きている中で、飛び入れたことにとても興奮していた。急なオファーではあったが、問題なかったし、アフリカからのアスリートを歓迎できてよかった。
テイクダウン・ディフェンスには自信があった。自分は寝技にかなり力を入れてきたし、自分の打撃もいい感じだ。あとは、自分のタイミングとテイクダウン・ディフェンスを確かめて、自分のペースで試合をするだけだった。
試合に出るにあたって、それらを実行に移そうと、距離をとって相手を打撃で苦しめようとした。相手が向かってくるのを待っていて、実際に向かってきたとき、グランド戦になって大丈夫だったってことをはっきり覚えている。
あの試合を見返してみると、グラウンドで反応するまでに時間がかかりすぎていたのかもしれない。頭の中では、相手のパンチを受けていてもダメージを受けていないように感じていたので、そのポジションをキープしたまま、下に潜って切り替えようと思っていた。
その間、相手はパウンドを打ってきたが、レフェリーが試合を止めるとは思っていなかった。「ダメージはもらってないから、ポジションはあえて変える必要はない。自分がやりたいようにやるし、時間をかけよう」と思っていたんだ。そのときそんな風に感じて、思っていた。だが、そういうわけだった。自分はいつだって感謝している。悩んだりしてない。あの場にいられて感謝している。自分にとって過去は重要じゃない。次に何が来るかだ。
ONE: 試合後にケインと交流があったようだが?
ンガラニ: 彼は素晴らしい人だ。彼のチームがセネガルに招待してくれて、彼や彼のチームとエキシビジョン・マッチをやったんだ。いつも連絡してくれるよ。クールだ。彼は素晴らしい人だし、彼のベストを祈っているよ。才能もあるし、違ったバックグラウンドを持っている。彼が何らかの形で表に出てきて、自分を表現しているのを見るのは嬉しい。
彼と知り合えたこと、そして彼がONEチャンピオンシップに参戦できたことを、とても嬉しく思っている。彼の成長も楽しみだ。
ONE: ケインは、アフリカ出身で、次の世界チャンピオンになるための資質を持っていると思うか?
ンガラニ: 彼はレスリング出身で、MMAに適応するためには明らかに頑張らないといけない。だが、若いし、それをやるための時間もある。正直なところ、アフリカに多くの磨かれていない才能が存在するのは明らかだ。それは否定できない。今こそそれを知らしめるときだ。アフリカにはタレントが溢れていて、これまで以上に目にする機会が増えてくるだろう。
ONE: ケインだけでなく、ヘビー級には他にも多くのワールドクラスの選手が参戦している。現在のこの階級についてどう思うか?
ンガラニ: ニューカマーを見るのはとても楽しい。ヘビー級にスパイスを与えてくれている。ヘビー級やライトヘビー級の選手で、今まで寝ぼけて安心していたら、今こそ目を覚まして、頑張らないといけない。だってそういうものだから。動きがあるんだ。出ていって何かしないといけないし、やり方を変えるか、適応しないといけない。
自分は競争が好きだ。だから、自分たちはここにいるんだ。そういうものが自分たちにやる気を与える。競争があれば、もっとやりたい、もっと競いたいと思うようになる。楽しくなりそうだ。
ONE: 新規加入したアスリートの中には、エリートのレスラーやグラップラーがたくさんいる。今後そのようなスタイルの相手と対戦することについてどう思うか?
ンガラニ: 個人的には自分のレスリングやグラップリングに問題があるのは明らかだ。そこが自分の弱みなので、グラウンド戦になるたびにパニックになる。だからここに今もいるんだ。挑戦するのが目的だから。
キックボクシングを続けることもできたが、自分は世界チャンピオンだ。そこでは何も証明しなくていい。挑戦したいと思っていて、それがMMAだったんだ。戦い方を理解し、学びたいと思っていたからこそ、今もここにいるし、その強みは持っている。
自分ははまだレスリング、柔術、グラップリングで自分の能力の30%も発揮できていない。そこでしっかりと自分を磨けば、手がつけられないアスリートになる。年齢は関係ない。調子はいいし健康だ。だから、自分が楽しめて、興奮できて、健康である限り、自分を追い込んで学んで、挑戦し続けていく。
毎日トレーニングはしているし、トレーニングは楽しいし、時折人前で自分の力を見せる。まだまだモチベーションはある。今はエキサイティングな時代だ。ニューカマーたちは、これまでとはまったく違うやり方を持ち込んでくるだろう。物事は変化するし、ベルトも持ち主が変わる。グラップリングの問題ではなく、総合的な能力の問題だ。打撃もグラウンド戦でのディフェンスも上手にできないと。
ONE: ONEに参戦して以来、はっきり発言をしている者もいるが、対戦してみたい相手はいるか?
ンガラニ: 話すことではなく、試合に出てやるべきことをやるのが目的だから、自分は誰かを選ぶなんてことはしない。自分のことを知ってくれていると思うが、自分は何にも反対しない。ONEが電話をしてきて「こいつと対戦する準備はできてるか?」と聞いてきたら、「自分はここにいる。なんでもやる」って答えるよ。
怖がってなんかいない。何も気にしない。足を踏み出して、やるべきことをやる。成長し続けて、タイミングが合って、調子が良ければ、良いパフォーマンスをするだろう。だから、特定の人間について話したいってことはない。誰だって歓迎さ。
ONE: ブランドン・ベラ がONEヘビー級世界チャンピオンだった頃は、対戦したい相手だった。最近、彼はベルトを失ったが、まだ対戦したいと思うか?
ンガラニ: 彼は素晴らしい人物であり、素晴らしいアスリートであり、多くのことを成し遂げてきた。彼が元気であってほしいと願っているよ。彼が休んで、より強くなって戻ってくるのを願っている。これが格闘技だ。ベラだろうと、誰だろうと、この階級はタレント揃いだから、やってみたいと思っているよ。
調子が良ければ、試合に出てクレイジーなことをするかもしれない。誰だって負けることはあるし、調子のいい日も悪い日もある。だからこそ、試合に出て、信じることをやめないで、追い込み続ける。これが自分のやり方だ。
ONE: ライニアー・デ・リダーがヘビー級に階級を上げて、3つ目のONE世界タイトルを狙いたいと話しているが、どう思うか?
ンガラニ: アウンラ・ンサンから2つのベルトを奪ったのはすごいことだと思う。彼の素晴らしいパフォーマンスにおめでとうと言いたい。ライトヘビー級のベルトを取るとは思っていなかったが、取った。拍手を送りたい。ブラボー、デ・リダー!
でも、ヘビー級に行くのはもっと大変なことだと思う。小手先の勝負は通用しない。アウンラ戦でやったみたいに、テイクダウンして、ラウンドを消化したいなら、すぐに反撃される可能性もある。それに、もしそれが通用しない場合、何をするんだろう? まだわからないな。
生まれつきヘビー級の人じゃなかったら、そう簡単にはいかないだろう。だから、(ヘビー級に)挑戦するのを見るのが楽しみだ。彼が階級を炎上させているのを見たことがあるし、すごく印象的だ。
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