【10/13大会】逆転防衛アンジェラ・リー、窮地で「クリスチャンの声聞こえた」
もともと驚くような勝ち方が多いアンジェラ・リーだが、「ONE:CENTURY PART I」ではこれまでの驚きを超えたかもしれない。
10月13日(日)に東京・両国国技館で開催されたション・ジンナン戦でリーは、攻守入れ替わるスリリングな試合の末、リベンジを果たしたのだ。
リーは今年3月の両国大会「ONE:A NEW ERA 新時代」では、ションの持つONE女子ストロー級世界タイトルに挑戦し、キャリア初の黒星を喫している。そこから7か月、今回はリーが自身のベルトを掛けて戦い、星を五分に戻したのだった。
「何がどうなって勝てたのかは記憶がハッキリしないけれど、とにかく勝てて良かった」とONE女子アトム級世界王者のリーは語っている。
「どのラウンドも全力で戦った。フィニッシュしなければならないと思っていた。ションが強いことは分かっていたが、それでもフィニッシュしたかった」
再びションの強烈な打撃に対応しなければならないのだから、リーにとって簡単な試合になるはずもなかった。しかし今回は、リーは最後までがんばり続け、強烈なプレッシャーを受けてピンチになっても倒れることはなかった。
リーは前回の敗戦を糧にして、今回は一層の練習を積んできたという。そのおかげもあって、リーはますます闘志を燃やし、コンディショニングを完璧に仕上げてきたのだ。
「しっかり準備をしてきたことが結果につながったと確信している。それが3月の試合と今日の試合の違いだ」とリーは言う。
「今回はこれまでにないほど、ハードなトレーニングを積んできた。だから全ラウンド、ペースを握ることができたし、自信も持てた。最悪なのは、次のラウンドに入って『ああ、もうスタミナが切れた。足が動かない。どうしよう…』となることだから」
「今回はそんなふうにはならなかった。自分を信じ、ゲームプランを遂行することができた」
今年3月の両国大会では、リーが第4ラウンドにションをフィニッシュ寸前にまで追い込んだものの、何が何でもフィニッシュするのだというエネルギーは残っていなかった。そしてションが第5ラウンドに圧倒し、リー屈辱のTKO勝利を飾ったのだった。
今回は立場が逆転した。ションが第4ラウンドに、左フックでリーをフラッシュダウンさせたのだが、リーがそこから復活、第5ラウンドにリアネイキッドチョークで勝利を得たのである。しかし実際には、リーはノックダウンから復活していたわけではなかった。
「正直、最後のラウンドではきちんと考えることができなかった。頭がふらついていたし、身体は揺れていた。それでも最後までがんばることができたのは、クリスチャンと父の声がセコンドから聞こえていたからだ」とリーは認めている。
「セコンドが見えるポジションを取ることができた。彼らとアイコンタクトを取ると、作戦を指示する声が聞こえてきた」
「彼らが『ポジションをキープしろ。背中に乗ったままだ。あまり乗りすぎてはいけないぞ。よし、いまフィニッシュを狙え。今だ!』というふうに導いてくれた。だからこの勝利は本当に彼らのおかげ。彼らのコーチングのおかげで勝つことができた」
リベンジに成功したリーはここから、格闘技の本拠地で初めての女子2階級世界王者として歴史を作っていくという目標を再び掲げようとしている。
そのためにはこの2人のスーパースターがラバーマッチに臨むことになるのかもしれない。あるいはストロー級のチャンピオンが別の誰かであるなら、その者がリーの標的となる。
「私はアトム級では永遠にチャンピオンであり続けたい。でも、それだけでは満足できない」とリーは語る。
「私はストロー級でも強さを発揮できると、心からそう思っている。だからベルトは狙う。たまたま最初の2試合がうまくいかなかったからというだけで、諦めることはない。私は必ずストロー級に戻ってきて、しっかりとアピールをしていくつもりだ」