【10/13大会】2階級制覇挑戦のベラ「フィニッシュ決着しかいらない」
ダブルヘッダー大会となった「ONE:CENTURY 世紀」の夜の部、「ONE: CENTURY PART II」でのアウンラ・ンサン(ミャンマー)戦を前に、ブランドン・ベラ(フィリピン)にはさまざまな感情が押し寄せている。
10月13日(日)、東京・両国国技館で行われる試合で、身体を絞ってONEライトヘビー級世界タイトルに挑戦する現ONEヘビー級世界チャンピオンのベラは、試合の行方には怖さも感じると本音を明かす。
もちろん、何と言ってもキャリア初期から抱き続けてきた夢を実現するチャンスにベラの心は躍っている。
他方で、ONEでの2本目のベルトを獲得するためにも、東京で負けられない戦いに臨むことについては複雑な思いもある。
ベラとアウンラ・ンサンとの間には、敵対感情はない。それどころか、同じコーチと同じトレーニングパートナーを持ち、同じジムに所属する、“ほとんど兄弟”のような間柄なのだ。
長年照準を絞ってきたベルトを奪うためとはいえ、できればアウンラ・ンサンとは戦いたくなかった。しかし、運命が2人のファイターを直接対決へと導いてしまった。
「たまたま、ライトヘビー級で世界最強の選手がミスター・アウンラ(アウンラ・ンサン)だったわけだ」とベラは言う。
「戦いたくはない。でも今のチャンピオンが彼なんだから仕方ない。痛し痒しの状況だよ」
さらに言えば、ベラはアウンラ・ンサンほど厳しい対戦相手は他にはいないことも認めている。
アウンラ・ンサンは現在、5試合連続でフィニッシュ勝利を飾っている。ONEライトヘビー級タイトルを奪取したアレッシャンドリ・マチャド戦では、試合時間わずか56秒、ハイキックでノックアウト勝ちを収めた。
ベラにとっては、ほんのわずかなミスも許されない危険な相手だ。だからこそ、ベラは自分を追い込んで、過去最高のコンディションに仕上げてきている。
「アスリートとしては、彼ははまさにモンスターだよ。怖さはある」とベラは語っている。
「とにかく前に出てくる。引き下がるということがない。戦うたびにどんどん強くなってきているし、スキルも上達してきている。これほどタフな選手は他にはいないし、ハートも強いし、ミャンマーのファンが国を挙げて彼のことを応援している」
「だからこそ、自分はどんなに身体が痛くても、どんなに疲れていても、ベッドから起き上がるべきではないと思える時でも、毎日練習に行くことができているんだ」
「テクニックの使い方、動きのタイミング、コンビネーションのすべてが上達している。かつての彼は、ただパンチを出しているだけだった。タフなアウンラ・ンサンだからこそ、それでも通用していた。今となってはもはや怖いものなど、何もないはずだ」
「試合中のアウンラ・ンサンは、対戦相手の穴を見つけ出す。穴を見つけたら、セットアップ(前準備)をした上でパンチを当ててくる。だから彼はますます危険な選手になってきている」
こうした難敵であるにもかかわらず、ベラはケージに上がってアウンラ・ンサンを倒すことを楽しみにしているとも言う。
ひょっとするとベラはすでに勝つための方法を見つけているのかもしれない。しかしベラは、10月13日以前には秘密を明かしたくないとしている。
「つけ込める点はいくつかある。でも言わないよ。誰にも言うつもりはないんだ」
現時点でベラがただ1つ言えること、それはこの試合には5ラウンドも必要がない、ということだ。
ベラは、ONEでの全試合第1ラウンドノックアウト勝ちという記録にこだわるつもりはないとしつつ、今回の試合が25分かかることはないという点では譲らない。
「常にノックアウトを狙っているとは言わないが、この試合は第5ラウンド終了のゴングを聞く前にフィニッシュしたいと思っている」
「勝ち負けをジャッジに決めてほしくないんだ。だから何らかの形で、試合はフィニッシュ決着を迎えなければならない」
何よりもベラには、ファイターになった頃から、心に定めていた大きな目標がある。それは、まずヘビー級で世界王者になり、次に階級を落としてライトヘビー級でも世界王者になることだ。そしていよいよ、そのチャンスが到来したのだ。
大会が終わった時、自分が2本のベルトを両肩に巻き、真のエリートファイターの一員になるためなら、誰をどんなふうに倒そうとも構わないとベラは言う。
「2本目の世界王者ベルトを獲得するということは、ほんの一握りの選手だけが一生をかけてようやく到達できるレベル、ほとんどの選手は近づくことすらできないレベルに、自分が到達することになるんだよ」
「だって、基本的には世界全体の2つの階級で一番強い男、ということになるわけだからね」
「自分は2階級制覇を一大事であるかのように語ったり、2階級チャンピオンのことを超一流の選手であるかのように言ったりはしていないけれど、実はこれこそが、もう15年越しの自分の夢なんだ」
「自分はほぼ全キャリアを、2階級チャンピオンになるために捧げてきた。2階級チャンピオンになるということは、それほど難しいことなんだよ」
東京・両国国技館 | 10月13日 (日) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)