クリスチャン・リーの2021年「防衛数戦したら、ウェルター級のベルトも」
クリスチャン・リー(シンガポール)は、2020年10月の「ONE: INSIDE THE MATRIX 」でユーリ・ラピクス(モルドバ)を相手に、ONEライト級世界タイトルの初防衛を果たした。
ライト級の頂点で地位固めをした22歳のリーは、2021年に向けて更なる飛躍を遂げようと意気込んでおり、階級のコンテンダーたちに狙われる立場であることを誇りに思っている。
一方、ONEのケージ「サークル」の外での私生活において今年は、妻との間に新しい家族を授かる予定だ。
リーが2020年を振り返り、新しい年の目標を語った。
ONEチャンピオンシップ: 昨年を振り返って。
クリスチャン・リー: 2019年は、世界タイトルを獲得し、ONEライト級世界グランプリでも優勝して素晴らしい年だった。だから、2020年は、3、4回のタイトル防衛を目指して、とても楽しみにしていた。そして、パンデミックが発生した。
ありがたいことに、ロックダウンが始まる直前の2月に結婚式を挙げることができた。そこから3月には、新型コロナウイルスの蔓延を止めるためジム「ユナイテッドMMA」を閉鎖した。
状況が変わった。 外出するときはいつもマスクをしなければならなかった。しばらくの間は、食料品店に出かけるときは、みんな手袋をしていた。今では、みんなにとって新しい時代だ。慣れるのに時間がかかった。
今年がどうだったかというと、感謝の気持ちがある。だって、多くの人が生活費を稼ぐのに苦労しているのを知っているし、新型コロナウイルスのロックダウンなどで大きな打撃を受けた。自分にとっては、これまでキャリアでうまくいっていること、家で家族や妻と多くの時間を過ごしたこと、いつもだと得られない質の高い時間を過ごせて、ありがたく思っている。
ロックダウンの前は、トレーニングやクラスを教えて12時間働いていた。それが、愛する人たちと一緒に楽しめる自由な時間をたくさん持てるようになった。2020年は、パンデミックが始まってから今に至るまで、素晴らしい1年だった。
家族の誰もコロナで病気になった人がいないので、恵まれていると言えるだろう。家族の誰も病気にならないように、安全に、必要なことをやろうとしている。
2021年に向けて、自分のベルトをもっと守りたいと思っている。そして4月には娘が生まれる。楽しみなことがたくさんある。
ONE: トレーニングにどのような影響があったか? ポジティブに捉えたか、それともフラストレーションが溜まったか?
リー: 自分にとってはポジティブなことだと思っている。アスリートとして、格闘家として、トレーニングを止めることはない。いつもジムにいる。
試合が5月から6月、7月、そして最終的には10月に延期になっても、それは変わらなかった。年中トレーニングをしていて、トレーニングはいつも通り続けていた。試合が実現することは分かっていたので、準備はしていた。
契約書にサインして、試合日が決まってからがキャンプの本番。1日に2、3回のセッションをやって、強度を増す。トレーニングの時間が増えるのはいつだっていいことだ。
ONE: 「ONE: INSIDE THE MATRIX」では、ONEライト級世界王座を初防衛した。ラピクスに勝った時の気持ちは?
リー: 試合前はとても楽しみだった。
できるだけ早く行って、仕事を終わらせて、給料をもらって、家に帰りたいと思っていた。それを実際にやったけど。約束していた通りに、相手と戦って。競り合って、打ち合って。相手の頭が横にずれた。相手のパンチは当たったが、自分のは当たらなかった。そこからスクランブルになった。
スクランブルでは常に冷静だった。だからこそ、試合を終わらせるグラウンド・アンド・パウンドを決められるポジションを取れた。最高の気分だ。一生懸命トレーニングしてきたんだ。
2020年は休養と中断の年だったが、毎日ジムでトレーニングをしていた。すべて実を結んで、ありがたいことに2分以内に仕事を終わらせることができた。
初の世界タイトル防衛戦は終わった。もう元ライト級チャンピオンと1位コンテンダーの“ダギ”(ザイード・フセイン・アサラナリエフ)とその次のコンテンダー、ユーリ・ラピクスは倒している。トップランカーの3人は倒したことになるし、これからも勝ち続けることを楽しみにしている。
タイトルショットを狙う力のあるハングリーなコンテンダーがたくさんいる。挑戦を歓迎したい。自分はハングリーだし、2021年には何度もベルトを防衛するのを楽しみにしているから。
ONE: あの世界タイトル防衛の重要性は?
リー: あの試合は人生で最も重要な試合だった。なぜなら、ケージに入るたびに、全力で行くから。ファイターであること、チャンピオンであることが自分の仕事だが、ケージに足を踏み入れるたびに、最高のコンディションでいることを要求される。
MMAの試合は易しいものではない。世界のトップに立っていても、1試合負けてしまったら、名前を忘れられ、お金をもらえなくなってしまうこともある。あの試合は自分にとって大きな意味があった。給料を貰い続けること。家族に素晴らしい生活をさせてやれること。あの夜ラピクスが自分に勝てるはずもなかった。自分にとって本当に大切だったんだ。。
ONE: 2021年に向けて、ライト級全体をどう見ている?誰と対戦したい?
リー: ライト級は世界で最も層が厚い階級だと思う。強い奴らだらけだ。青木真也もいるし、危険なコンテンダーのティモフィ・ナシューヒン(ロシア)も。エディ・アルバレス(米国)も今後の活躍が期待されるし、マラット・ガフロフ(ロシア)は、ライト級で初勝利を挙げた。たくさんの強力なアスリートがタイトルを狙っている。
試合に出続けられるのは自分にとっては最高だ。常に自分を追い込み、自分に試練を与えてくれる優秀なファイターがいる。ライト級は、世界で最も層が厚いと思っている。そう考えると、ライト級のチャンピオンになれたことがさらに嬉しいよ。
ONE: ONEフェザー級世界王者タン・リーが2021年の目標はライト級でタイトルを取ると話していた。
リー: タン・リーはいいファイターで、マーティン(・ニューイェン) を相手に本当にいい仕事をした。爆発力があって、試合勘もいいんだけど、自分より1階級下のフェザー級でベルトを獲ったばかり。
上の階級に上がる前に、今の階級を一掃しないと。ベルトを守らないと真のチャンピオンにはなれない。最初の数回の防衛戦でどうなるか楽しみだ。
最終的に挑戦したいと思ってくれるなら歓迎する。自分としては、 彼より先にベルトに挑戦する機会を得たハングリーなコンテンダーがたくさんいるから、そっちが先かな。
ONE: 2021年に成し遂げたいことは?
リー: 2021年の主な目標は、ベルトを守り続けて、階級のファイターを一掃すること。
自分の考えでは、まだ倒していない重要な選手が数人しか残っていない。そこからノックアウトしたい。ティモフィが筆頭だろう。チャンスを得たと思う。エディ・アルバレスも倒したし、ピーター・バウシュト(オランダ)を倒したばかりだしね。絶対あると思う。もちろん、最終的にはONEチャンピオンシップが決めることだけどね。
エディ・アルバレスとのビッグマッチもあるだろう。もし(アルバレスが)勝ったら、挑戦権を得るだろうね。
この2人は2021年に、予定されてるだろうし、その次はお楽しみだ。自分のプランは、2021年にあと3人のトップコンテンダーを倒して、ベルトを守り続け、ウェルター級のベルトにも挑戦したいと思っている。2021年がどうなるか、どうなるかはわからないが、間違いなく出場し続けられるようにがんばるさ。
ONE: 春に女の子の赤ちゃんが誕生する。女の子のパパになることについてはどう感じている?
リー: いやー、喜びまくっていて、とても楽しみ。妻といつもその話をしていて、ずっと赤ちゃんが欲しいと思っていた。もうすぐ4月に女の子が生まれるなんて、本当に嬉しいよ。
まだどんな感じになるのかわからないけど、赤ちゃんが今までの2人の人生の中で最高のものになることはわかっている。嬉しさで胸がいっぱいになっている。誕生が待ち遠しい。日に日に妻のお腹を蹴っているのを感じることができる。
これは間違いなく妻と私にとって最高の出来事。娘が生まれることをありがたいと思っているよ。
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