【10/13大会】キックWGP決勝戦、ザ・ドクター、ペトロシアンがサナを”解剖”
史上最大の格闘技イベントで、しかも100万米ドル(約1億円)の賞金を目の前にして、それでも冷静さを保つことができるアスリートはほとんどいないだろう。
しかし、ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)はどうやらその1人のようである。
ペトロシアンは、10月13日(日)に開催される「ONE:CENTURY 世紀」の夜の部、「ONE: CENTURY PART II」でサミー・サナ(フランス)を迎え撃ってのONEフェザー級キックボクシング世界グランプリ(WGP)決勝戦に出場する。
今のペトロシアンは、サナを倒すことだけに集中しているという。「サナとは初対戦になるが、ふだん通りの自分の戦いができればと思っている。賞金のことや、決勝戦であることなど、余分なことは考えない」
「これくらい高いレベルの戦いになってくると、対戦相手だけに意識を集中させることは簡単なことではない。自分はメンタルコーチに習ったやり方を使って対応しているんだ」
「意識が他のことに移ってしまうと、サミー・サナという目標を見失ってしまう。そんなふうになってはいけない。自分にとっての最終目標は対戦相手なんだ」
ペトロシアンは、今年7月の準々決勝でペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)にユナニマス判定勝ち、8月の準決勝ではジョー・ナタウット(タイ)を第1ラウンドでノックアウトし、決勝進出を決めた。いずれも、ペトロシアンらしい対応能力と頭脳戦の強さが現れたパフォーマンスだった。
他方でサナは、5月にヨドサンクライ・IWE・フェアテックス(タイ)をユナニマス判定勝ちで下すアップセットを演じると、準決勝ではジャバル・アスケロフ(ロシア/オーストラリア)にマジョリティ判定勝ちを収め、決勝戦に駒を進めたのである。
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ペトロシアンは、特にサナがヨドサンクライにキャリア最大の勝利を収めた試合を見て、今回の試合は自身のゲームプラン策定能力が勝負を分けると考えている。
「サナとはずっと戦ってみたいと思っていたから、今回の対戦は楽しみにしている」と、これまで5度、キックボクシングで世界チャンピオンになっているペトロシアンは語る。
「サナとヨドサンクライの試合は、特にファンにとっては面白い試合だった。これといって深い考えもなく、ひたすら殴り合っていたんだからね」
「でも自分にはたくさん穴が見えた。気がつくこともたくさんあったんだ。今はそういう点についての対策を進めている」
ペトロシアンのニックネーム、“ザ・ドクター”は、もともとは攻撃の緻密なまでの正確さからつけられたのだったが、リング上で発揮している対戦相手を分析し解剖にしてしまう能力もあいまって、ますます板についてきている。
サナの超攻撃的なファイトスタイルは、これまでONEスーパーシリーズの強敵を圧倒してきた。犠牲者の中には、ペトロシアンの弟、アルメンもいる。しかし、まさにその超攻撃性こそが、ペトロシアンが対処し、封じ込もうとしていることなのだ。
ペトロシアンを史上最高のキックボクサーたらしめたもの、それは対戦相手の攻撃を無力化しながら、自分の攻撃だけを的中させる穴を効率的に見つけ出す能力だ。サナの猛威を押さえ込むことは簡単ではないが、それができる選手が“ザ・ドクター”なのである。
「サナは強いよ。決勝戦までくるだけのことはある」とペトロシアンは言う。
「ただ自分の目には、サナの打撃は特にパワフルだとは思わないんだ。むしろ、打撃の距離の遠さと正確さがいい。決勝まで勝ち上がってきたんだから、かなりタフな選手なんだろう。自分は準備万端だ。どんな試合になるか、楽しみにしていてほしい」
すでに対戦相手の研究は終わり、トレーニングキャンプもやり遂げた。10月13日、ペトロシアンはサナの弱点を露呈させるつもりだ。
ペトロシアンは激しい試合を予想している。しかし、ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリのチャンピオンシップベルトを手に、両国国技館を後にするのは自分であると確信している。
「ハードトレーニングを、最善を尽くしてやってきた。最高の仕上がりでリングにあがりたいからね」とペトロシアンは語っている。
「サナは打たれ強いタフな選手だ。ただ、彼は自分のパンチを受けたことはない。まあ、どうなるか見てみよう。間違いなく、お互いにとってきつい試合になるだろう」
東京・両国国技館 | 10月13日 (日) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)
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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。
複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。