ライト級ベルト2つ獲得クリスチャン・リー「2019年は最高の年」
ONEチャンピオンシップに参戦している選手の中で、クリスチャン・リー(シンガポール)ほど素晴らしい、そして驚きの多い年を経験した格闘家は、他にいないだろう。
21歳のリーは2019年初め、フェザー級の階段を駆け上がり当時の世界王者マーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)との3度目の試合に臨むことを目指していた。
だが4月、その計画は突然、変更されることになる。
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Posted by ONE Championship on Friday, May 17, 2019
リーは今年1月の「ONE:ETERNAL GLORY」でエドワード・ケリー(フィリピン)と対戦し、第1ラウンドでTKO勝ちを収めた。だがここで予想外のことが起こる。トレーニングパートナーでもあった当時のONEライト級世界王者、青木真也から対戦相手として指名を受けたのだ。青木が「ONE:A NEW ERA 新時代」でベルトを手にした後のことだった。
リーは挑戦を受け入れて階級を上げ、シンガポールのメガジム「Evlove MMA」のチームメイトでもある青木と、5月の「ONE:ENTER THE DRAGON」のメインイベントで対戦した。第1ラウンドに青木のアームバーに苦しめられたものの、なんとかそのラウンドをしのぐと、2ラウンドで青木をノックアウト。見事に世界タイトルを手にしたのだった。
そして10月には、欠場することになったエディ・アルバレス(米国)の代理として急きょ、ONEライト級世界グランプリ(WGP)の決勝に出場することになる。東京・両国国技館で開かれた「ONE:CENTURY 世紀」第1部の決勝戦で、ザイード・フセイン・アサラナリエフ(トルコ)と対戦。勝ち上がってきて勢いに乗るアサラナリエフに対し、リーはその意のままにはならない。そして3ラウンドの戦いでアサラナリエフを圧倒し、優勝を決めたのだった。
2019年が終わろうとしている今、リーが今年1年を振り返る。
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Posted by ONE Championship on Saturday, October 12, 2019
ONEチャンピオンシップ:2019年はフェザー級の選手としてスタートし、ONEライト級WGPを制覇して終わった。今年の初めに想像できたか?
クリスチャン・リー:本当にクレイジーだ。昨年インタビューを受けた時はまだフェザー級にいて、フェザー級のWGPに出られたら出たいと答えた記憶がある。
5月にONEライト級世界タイトルへ挑戦することになって、ベルトを獲得することができた。そして10月にはWGPの決勝に出るチャンスをもらい、これもベルトを獲った。
今年は自分にとって、最高の年だった。たくさんの紆余曲折があったが、終わってみれば、今年得られたものにものすごく満足している。
ONE:エドワード・ケリーとの今年最初の試合について聞きたい。ケリーには以前、失格で負けていた。借りを返せたことはどのような意味があるか?
リー:あの試合が全てだった。2018年は2勝2敗で終わっていたから、自分のキャリアにとって、その試合はとても重要だった。2019年の初戦で、失格による敗戦のリベンジを果たし、自分の方が強いと証明する機会になった。
ケリーとの1試合目は自分がTKO勝利したように感じるし、2戦目ではTKO勝利をものにした。自分のほうが優れたファイターだと自分自身を納得させられた、というだけの話だが。
ONE:今年2戦目は青木真也からサプライズで指名を受けての対戦だった。今振り返ってみて、その時どう感じたか?
リー:青木がONEライト級世界タイトルを手にした夜、自分は東京にいた。彼の試合の前に、健闘を祈りを話したんだ。そして試合の後にも勝利を祝った。
そうしたら、「ONE ELITE RETREAT(選手の慰安旅行)」でタイ・プーケットにいた時に、携帯を開いてその記事を見たんだ。「マジ?」って感じだった。ベルトを手にした後に彼がそんなことを言うなんて、思ってもみなかった。だって自分のような強敵を、しかも同じ階級でもない選手を指名するんだから。
自分を対戦相手に指名するのは危険な賭けだ。でも青木は真の戦士であり、次の世界王者になり得る選手と戦って自分自身を試したかったんだろう。そのことにはとても感謝している。この機会を与えてくれてうれしい。
ONE:過去にトレーニングを共にした選手と対戦するにあたり、不安などはあったか?
リー:誰かと一緒にトレーニングをすると、その人のスタイルや強み、弱みがわかるようになる。青木と初めて一緒にトレーニングをしたとき、自分は17歳の少年で、Evolveに入門したばかりだった。青木にはいつもギブアップさせられてばかりだった。
そして何年もたって、互角に戦えるようになった。どっちもフィニッシュしたものだ。でもそれが最後。その後2年は一緒にやっていないし、その間に何試合も経験した。
試合で彼と向き合った時、全てが初めてのようだった。トレーニングルームで一緒だったのは事実だが、2年も前で、その時から何試合もしている。それに何より、トレーニングはただのトレーニングでしかない。
だから試合は完全に別のアプローチ、完全に別のマインドセットなんだ。トレーニングで毎日負け続けている相手だったとしても、試合では勝つことだってある。
ONE:第1ラウンドでは青木のアームバーにてこずったものの、第2ラウンドではノックアウトした。青木をフィニッシュできると想定していたか?
リー:自分の目標は基本的に、第2ラウンドで彼にしたようなことをすることだった。でも第1ラウンドにね。ある意味では劣勢を経験できたのはよかった。もう少しで腕を折られるところだった。
ONE:その試合の後、急なオファーを受けてONEライト級WGP決勝に出場することになった。その試合に出るにあたってどう思ったか?
リー:面白かったのは、自分はライト級でチャンピオンなのに、その試合は自分が不利だと思われているようだったことだ。おかげでモチベーションが上がったし、自分が最強だって見せつけてやりたいと思えた。チャンピオンは自分だ。ライト級最強選手は自分だ。
試合では3ラウンドを優勢で終え、ONEライト級世界王者としての自分のレガシーが1つ厚くなった。アサラナリエフがタフな選手で、本気でいかなければいけないというのはわかっていた。間違いなく、彼は素晴らしいファイターだ。彼は自分の限界を押し上げたし、その試合のおかげで彼も自分も、選手として成長することができた。
ONE:13歳の時から世界チャンピオンを目指してきた。そこから9年で目標を達成してどういう気分か?
リー:クレイジーだね。人生は予想外の紆余曲折ばかりだ。昨年はフェザー級の選手で辛抱強く試合の機会を待っていたんだ。そしたら降ってわいたようなONEライト級世界タイトル戦のチャンスを手にした。
そのチャンスをつかみ、さらに、たった10日間の準備でベルトをもう1つ手に入れた。2019年がこんな風になるなんて想像もしていなかったから、2020年に何が起こるかなんて、誰にもわからないよね。