【10/25大会】新王者アバゾフ「妻に試合を見てほしくなかった」⁉︎

Kiamrian Abbasov attacks Zebaztian Kadestam at ONE: DAWN OF VALOR in Jakarta

10月25日(金)にインドネシア・ジャカルタで開かれた「ONE:DAWN OF VALOR」で、ONEウェルター級世界王者のベルトの持ち主はキャムラン・アバゾフ(キルギス)になった。

アバゾフはゼバスティアン・カデスタム(スウェーデン)を上回る素晴らしいパフォーマンスを披露し、5ラウンドの激闘の末にユナニマス判定で勝利。カデスタムを王座から引きずり下ろしたのだった。

26歳のアバゾフにとって、勝利はそうたやすいものではなかったという。ムエタイをバックグラウンドにしたカデスタムの危険な攻撃を、最終5ラウンドまで相手にしなければいけなかったからだ。

ジャカルタでの試合を終え、アバゾフが試合を振り返る。

ONEチャンピオンシップ:おめでとうございます。とうとうONEウェルター級新王者に就任した。この勝利はどういう意味を持つか。

キャムラン・アバゾフ:これまでのキャリアで最も重要な勝利だ。だからこの勝利の意味は本当に大きい。自分が世界チャンピオンだなんて信じられない。とてもうれしいよ!

この勝利は血と汗と涙の結晶。このために一生懸命トレーニングしてきたから、達成感と誇りを感じている。

ONE:勝利を告げられた時、そしてベルトを肩にかけた時はどう感じたか。

アバゾフ:信じられないほど素晴らしい瞬間だった。とても大きなことをやり遂げたように感じた。誇らしかったし、幸せだったし、そして興奮していた。自分の感情をコントロールするのがとても大変だった。

試合を通して自分がリードしていたと分かってはいたが、ベルトを手にした時はやはり感情が沸き上がってきた。



ONE:5ラウンド全てでリードしている自信はあったか?

アバゾフ:自分がリードしていると思っていた。第5ラウンドが始まった時も、第4ラウンドまで全て自分が取ったと思っていた。テイクダウンで相手を倒しフィニッシュするという自分のゲームプランに沿って試合を進めていた。100%の力を注いでトレーニングし、パフォーマンスしてきたから、勝てると確信していた。

最終ラウンドまでやりたかったから、最後まで自分を試すことができてよかった。ゲームプラン通りだったから状況はコントロールできていた。でも第4ラウンドが終わった後、本当に疲れてしまって、体がきちんと言うことを聞いてくれなかった。自分の意志と決意のおかげでなんとか勝つことができた。前に出なければいけないとわかっていたし、その通りにすることができた。

ONE:勝利の後、最初に電話した相手は?

アバゾフ: まずは妻に電話して彼女の体調について確かめた。第2子を妊娠中で、正直、試合は見てほしくなかったんだ。ストレスがかかるのは良くないから。

彼女に気分はどうかって尋ねたら、妻も気分はどうかって聞いてきたんだ。思わず笑ってしまったよ。彼女と話した後、娘と話した。その後は自分の母に電話をした。自分の幸せを家族と分かち合えるのはとてもうれしいことだ。

ONE:勝利をどのように祝ったか?
アバゾフ:実はまだ祝う機会がなかったんだ。まだ帰国途上だから。でも今週は家族と、そしてもちろん友人たちとも集まるつもりだ。素晴らしい祝勝会になることは間違いない!

Kiamrian Abbasov strikes with Zebaztian Kadestam at ONE DAWN OF VALOR

ONE:もっと早くフィニッシュするタイミングはあったか?

アバゾフ:そう。第1ラウンド終盤に、カデスタムの首をとってチョークに持ち込めた瞬間があったことを覚えている。でも残りわずか10秒だったから、コーナーからは離せと指示が来た。フィニッシュするには時間が足りないと見たんだ。そこで無駄なエネルギーを使わないためにね。だからそのポジションのままでいた。

第3ラウンドにもあった。バックをとってまた首を狙いにいこうとしたんだが、汗で体がつるつる滑ってしまってうまくいかなかった。

パンチとヒザで攻め上げていたが、彼は強いしタフだったからやり過ごされた。その点は本当に彼を尊敬する。

カデスタムはスキルがあり、とても礼儀正しく、そして容赦ない。素晴らしい対戦相手になってくれたことに感謝したい。自分たちがいい試合を見せられ、ファンが楽しんでくれていたらうれしい。メインイベントにふさわしい世界タイトル戦だったと信じている。

ONE:カデスタムはキックを攻撃の糸口にしようとしていた。どう感じたか? 

アバゾフ:彼のキックは本当に素晴らしい。特にローキックはかなり嫌だ。ムエタイのスペシャリストとして、ヒジもかなりうまい。

ONE:カデスタムのグラップリング(組み技)のディフェンスには驚いたか?

アバゾフ: あぁ、そう、それには驚いた。でも何より驚いたのは自分のコーナーやコーチたちだった。レスリングのディフェンスをこのレベルまで高めてくるということは、相当トレーニングを積んできたのだろう。本当にうれしいよ。

この試合のために間違いなくいろいろ改善してきただろうが、他の対戦相手と同様、自分はプレッシャーをかけ続けた。

ONE:第3ラウンドの見事な足掛けはゲームプランにあったのか?

アバゾフ:いや、事前に考えていたことではなかった。スパーリングでは何度か試したことがあったが、ゲームプランには入っていなかった。

彼がスタンスを広く取っているのを見て、賭けに出たらうまくいった。観客は楽しんでくれたし、カデスタムはびっくりしたようだった。

ONE:第4ラウンド開始から、立ち技に戦略を変えてきたのはなぜか?
アバゾフ:自分は総合格闘家。つまり立ち技もグラップリングもどちらも高いレベルでいないといけないということ。将来の対戦相手に、自分の打撃を見せたかったんだ。もうみんな、わかっただろう。

Kiamrian Abbasov stands with Zebaztian Kadestam at ONE DAWN OF VALOR

ONE:会場のファンがアバゾフの名前を叫んでいるのが聞こえたか?どう影響したか?
アバゾフ:第1、第2ラウンドではカデスタムを応援する声が大きかった。でも第3ラウンド以降は、自分の名前しか聞こえなかった。それまでの戦いぶりで、ファンの心をつかむことができたんだと思う。自分にとっては気持ちを高めてくれたが、カデスタムには影響を与えたかもしれない。
ONE:最終ラウンドでどのように感じたか?

アバゾフ:ちょうど数時間前にまた試合を見なおしていたところだが、2人とも疲れ果てていたよ。

どちらも疲れていたが、生死を賭けた戦いに臨むかのように第5ラウンドに向かって行った。彼も自分も、負けたくなかったからね。最期を覚悟した2人の侍のようだった。

ONE:母国キルギスや現在住んでいるロシアでの反響はどうだったか?

アバゾフ:たくさんの人が試合を見てくれていたんだと思う。だってロシアに到着した途端、自分が有名人になったように感じたから。

入国審査の職員たちが自分と一緒に写真を撮りたがり、サインを求めてきた。モスクワの空港ではみんなが次々に写真を撮ってくれと言ってきた。ソーシャルメディアのアカウントには今も、勝利のお祝いのメッセージが届いている。

ロシアやキルギスの人たちがたくさんこの試合を見てくれたんだ。時間ができたら全てのファンに返事をしたいよ。

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