【9/30大会】初代世界王者決定戦へ、カーン「ケリーは一度倒した相手」
9月30日(土)にシンガポール・インドア・スタジアムで開催される大会「ONE Fight Night 14: Stamp vs. Ham」で、21歳のジェサ・カーン(カンボジア / 米国)は、ダニエル・ケリー(米国)とONEアトム級サブミッション・グラップリング初代世界王座を争う。
世界最高のテクニカルなグラウンド・ファイター同士の対戦となるこの一戦は、カーンのONEデビュー戦でもある。
だが、両者の対戦は初めてではない。
2021年に米国で開かれたグラップリングの大会で、カーンとケリーは15分間のハイペースな戦いを繰り広げ、最終的にはカーンが判定で勝っている。
カーンは過去に勝った経験が、今回のリマッチとなる試合で精神的アドバンテージになるとONE編集部に明かしている。
「一度勝ったことがあるというのは、後押しになる。だから、自分ではなく、彼女の方が実力を見せつけなければいけないという立場だろう」
初対戦当時はカーンは19歳で、色帯で大成功を収めた後、黒帯レベルで待望のデビューを果たしたばかりだった。一方のケリーは、カーンほどの期待こそ集めてはいなかったが、経験豊富な選手で“サブミッション・ハンター”として知られていた。
だが、こうした経験の差にもかかわらず、黒帯として新人だったカーンは何度もサブミッションを試み、ポジション争いを支配した。
初対戦についてカーンはこう振り返っている。
「一本勝ちはできなかったけれども、試合をリードした。10回ほどサブミッションを試みたし、それで試合に勝てた。彼女はほぼ防戦一方だった」
以来、カーンは進化を続け、2023年のIBJJF世界柔術選手権では金メダルを獲得し、世界最強のアトム級選手としての地位を固めた。
だがそれでも、初対戦の判定勝利には満足しておらず、今回の試合では完全勝利を目指したいとしている。
「今回の試合の目標は一本勝ちをすること。あの試合のことが引っかかっていた。初対戦は15分の試合で、もっと時間があって、何度も試みたけれども、一本を取れなかった」
「だから、前の試合でうまくいかなかったことを絶対修正しようと思っている。そうすれば、一本勝ちできる。このことはずっと気になっていたから」
「自分はとても攻撃的。時間稼ぎなんてしない」
「ONE Fight Night 14」では、ジェサ・カーンとダニエル・ケリーの炎のようなグラップリングのスタイルを、多くのファンが初めて目にすることになるだろう。
カーンは自身のアプローチについてこう説明している。
「自分はとてもアグレッシブで、特にノーギでは機敏だ。自分を押さえつけるのは簡単ではない。自分はいいポジションを取るか、一本を取るまでずっと活発に動き続ける。この点は試合で役立つと思う」
「時間稼ぎなんてことはしない。それは自分の戦い方じゃない」
2023年のIBJJF世界柔術選手権で金メダルを獲得し、自信に満ち溢れるカーンは、ケリーを相手にも超アグレッシブで攻撃重視のスタイルを貫くつもりだ。
その自信の一端は、初対戦でケリーがあまり印象深い対戦相手ではなかった、というところからきているようだ。
ケリーはONE参戦以来3戦無敗としているが、カーンはそうした実績にも怯むことはない。
「正直なところ、あまり(ケリーの戦い方の)印象が残っていない。彼女は自分をテイクダウンしたから、テイクダウン(は印象に残った)と思う。だから、彼女はレスリングスキルは高いと思う。柔軟性も高いし、ディフェンスもうまい。けれども、自分がわかっているのは、ほぼそれだけだ」
「自分自身に集中しているから、彼女の戦いぶりについてはあまり注目していなかった。けれども、何を繰り出されても、対策はできているつもりだ」
カーンは、ケリーにONEでの初黒星を付け、初代女王としてベルトを巻こうと決意している。
この目標を達成するため、トレードマークのアームバーか、チョークか、その他のサブミッションか、どのような方法でも、とにかく一本勝ちをしたいという。
「(ポジションが)ボトムだろうが、トップだろうが、とにかく攻撃を仕掛ける。自分の得意技はアームバーと思われているけれど、どんなポジションからだって仕掛けられる」
「トップでも、ボトムでも、たとえ悪いポジションにいたって、一本勝ちを決める方法を探っている」