【9/7大会】王者ルオトロ、MMAデビューを経てグラップラーとして深化「無敵のような気分」
9月7日(土)の米国大会「ONE 168: Denver」で、ONEライト級サブミッション・グラップリング世界チャンピオンのケイド・ルオトロ(米国)は、マイキー・ムスメシ(米国)を挑戦者に迎えて防衛戦に臨む。
地上有数のサブミッション・グラップラーとして知られるルオトロは、今年6月の「ONE 167」でMMAデビューを果たし、見事1ラウンド一本勝ちを収めたばかり。この経験から、よりタフで戦いづらいアスリートに進化を遂げたという。
「ONE 168: Denver」で行われる防衛戦は、ブラジリアン柔術の最強のアスリートとされるONE世界王者同士が激突する一戦。
ルオトロは米カリフォルニア州出身の21歳、グラップラーとしていまも進化を続けており、さらにMMAのトレーニング経験を積んだことで気合いとタフさがさらに高まったと考えているようだ。ONEチャンピオンシップに対し、MMAを通じてグラウンド・ファイターとして成長したと話している。
「タフさで言うと、多少無敵のような気がしている。パンチやヒザやエルボーの攻撃を受けるようになると、柔術がもっと簡単に思えるんだ」
「意図しないキックもあるし、(首の後ろをつかんで相手をコントロールする技術)カラータイで顔などをたたかれることもある。MMAに比べたら何でもない。MMAのほうがもっと過酷だと思う」
ルオトロはMMAデビュー戦では、打撃面でも天性の適応力を見せつけ、ブレイク・クーパー(米国)に勝った。
この試合では、ルオトロがファンからいつも期待されている通りのフィニッシュを狙うアグレッシブな戦いぶりを見せた。
だが、実はMMAのグラップリングはブラジリアン柔術よりもアグレッシブではなく、リスクも少ないと説明している。
「MMAでは、あまり転がるような動きをしたくないし、リスクも犯したくない。下になるのは良くないことだから。ひっくり返されて、試合でトップを取るために努力してきたことが水の泡になってしまう。だから、そういった点は柔術よりもMMAでは少し強く意識するものだと思う」
「柔術では、ダースなどを狙ってポジションの取り合いをする。MMAで変えた点は、雑なやり方でサブミッションを狙ったり、下になったりといった愚かな判断を下さないようにすることだ」
MMAではルオトロのグラップリングは多少保守的なものになったかもしれないが、いまもブラジリアン柔術のスペシャリストであり、爆発的なサブミッションを狙う戦いぶりには変わりはない。
双子のONEウェルター級サブミッション・グラップリング世界王者のタイと同様、ルオトロはテイクダウンを決めてトップ・ポジションから仕掛けるのを好むが、だからといって下からの攻撃が苦手、というわけではない。
ルオトロはこうコメントしている。
「自分たちは対戦相手をテイクダウンしたり、パスしたり、フィニッシュしたりするのが大好きだ。けれども、レッグロックも持っているし、いつだって使える。仰向けになっていても、普通のハーフガード以上のことをして、足を取ったり、立ち上がったりする方法を見つける」
MMAのファイターのグラップリングは?
ブラジリアン柔術と同様、MMAでも活躍をしようとしているケイド・ルオトロは、最近MMAのファイターとグラップリングをする機会が増えたという。
そして総合格闘家と純粋なグラップラーとの決定的な違いをいくつか学んだ。特に、総合格闘家はガードを使う際により基本に忠実なアプローチを取る傾向があるそうだ。この点はブラジリアン柔術のレジェンドのルーカス・レプリのスタイルに似ている、と話している。
「大半のMMAファイターは下のポジションで戦いたがらない。もしするならば、昔ながらの伝統的な方法を使う。ルーカス・レプリのようにハーフガードの技術を使って立ち上がるような感じだ。」
「MMAファイターは、競技としての柔術ではよく使われるデラヒーバガードやXガードなどのガードを使うことはあまりないんだ」
打撃の要素が加わる戦いでは、大半のMMAファイターが変わったガードを避け、その代わりに立ち上がったり、トップポジションを狙ったりする。
この点を踏まえ、ルオトロはMMAのほとんどのグラップリングは、純粋なブラジリアン柔術よりもレスリングに近いと考えている。
「サブミッション・レスリングに近いと思う。大半のMMAファイターの試合を見て、自分はそう言い表している」