【9/7大会】3階級上げてルオトロに挑戦、ムスメシが明かす「普通じゃない」事前特訓
ブラジリアン柔術のスター選手でONEフライ級 サブミッション・グラップリング世界チャンピオンのマイキー・ムスメシ(米国)はキャリア最大の試練に向けて肉体を極限まで追い込んでいる。
ムスメシは、9月7日(土)の米国大会「ONE 168: Denver」で、3階級上のONEライト級サブミッション・グラップリング世界チャンピオンのケイド・ルオトロ(米国)に挑戦する。ここで勝てれば2階級王者になるチャンスだ。
この試合はサブミッション・グラップリング史上有数の注目を集める一戦とあり、ムスメシは気合を入れて事前特訓に励んでいる。
毎週数日間、米ネバタ州ラスベガスの自宅のジムと同州のジム「ファイト・タマシイ・コンバット・クラブ」でその世界レベルのサブミッション・スキルに磨きをかける。こうしたハードなトレーニングに加え、ストレングス&コンディショニングや動画での研究もこなす。
ムスメシはこうした忙しいスケジュールについてONEチャンピオンシップにこう話している。
「最近は、研究やトレーニングなど、合計で10時間から12時間くらい取り組んでいる」
ラスベガス以外では、ムスメシは約440キロ離れたロサンゼルスにも通い、ブラジリアン柔術の名選手の“コブリンヤ”ことフーベンス・シャーレスの指導を受けながらトレーニングもしている。コブリンヤの息子で国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)の欧州、パンアメリカン、世界選手権のチャンピオンのケネディ・マシエルがトレーニング・パートナーだ。
ムスメシはこの2人と過ごす時間は過酷なものだとコメントしている。
「木曜日と金曜日はケネディと全力で戦う。殺し合うんじゃないかってビビるぐらいのやつだ。3時間、コブリンヤの監督の下で、2人でやるんだ。基本的に10分間のラウンドで、お互いに本気でやって、新しい技術を見つけようとしている」
ムスメシは、ルオトロ戦で起こり得るあらゆる複雑なポジションについて理解を深めようと、綿密なトレーニングをおこなっている。
こうした入念で科学的なアプローチはコブリンヤも歓迎。ムスメシは指導を受け始めた後に出場した今年6月のガブリエウ・ソウザ(ブラジル)戦で一本勝ちを決めるなど、結果も出ている。
3人の練習では独特なメソッドを駆使しているとムスメシは説明する。
「このトレーニングでは、いつも変化するようなことをしているから、そこで考え出すことは普通じゃない。あるテクニックを練習していると、ケネディがそれを止めようとするんだ」
「そこで突然自分が調整をすると、また効き始める。そうするとケネディがまた止めるんだ。だからそうやって何度も何度もやって、レベルが上がっていく。そうすることで、他の人がやっているようなことの数年も先を行っていると思えるようなテクニックを作り出すんだ」
課題は「回復」、“サ活”も取り入れ
マイキー・ムスメシは厳しい事前特訓を通じ、よりグラップリングとコンディションに自信を持つようになった。だが、一方で難しい点もあると認めている。トレーニング後の回復だ。
ムスメシはこう話している。
「いまやっているのが最高のトレーニングだと思う。気に入っている。ただ唯一手こずっている点は、回復だ」
「こういう強度でトレーニングをしていると、回復がとても難しい。それに、ライト級はもっとパワーを要するから、回復は必要なんだ。だから、この点ではちょっと苦しんでいる。こうしたボリュームのあるトレーニングを続けていくために、どうすればいいかを一生懸命考えている」
連日ハイレベルなグラップリングを何時間もこなせば、身体や神経系に負担がかかる。
ステロイドやパフォーマンスを向上させるための薬物を使わない方針のムスメシは疲労回復と睡眠が一番重要だという。
「本当に体のコルチゾール値が高まっているのを感じる。呼吸法でコルチゾールを下げようとするけれども、これは終わりのない戦いだ。ステロイドを使わずに自分がいるレベルまでたどり着くには、こうしたことが必要なんだ」
「回復はトレーニングで疲労した神経系をリセットするための別のトレーニングのようなものなんだ」
ケイド・ルオトロとの待望の世界タイトルマッチが間近に迫り、ムスメシの事前特訓も佳境を迎えている。
このため、トレーニングの強度を保つためにも、あらゆる手段を使って回復に集中しているそうだ。
「たくさん寝て、たくさん動いて、たくさんサウナに入ること。こうしたことを頑張っている。眠りやすくなるから、ときどき糖分も多めに取っている。もし糖分が足りないと、目が覚めて空腹を感じることがある。だから、これは終わりのない戦いなんだ。正直、こういうことをいまやっている」