【5/4大会】市川奈々美の対戦相手、ビアンカ・バジリオが貧困を乗り越えて大成するまで
国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)世界柔術選手権やADCCサブミッション・ファイティング世界選手権(ADCC)でチャンピオンに輝いたビアンカ・バジリオ(ブラジル)は、幼い頃から貧困から抜け出そうと懸命に戦ってきた。
5月4日(土)の「ONE Fight Night 22: Sundell vs. Diachkova」で、バジリオは3度目のONE出場となるキャッチウェイト(132ポンド)サブミッション・グラップリングマッチで、日本の市川奈々美と対戦する。
タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで行われるこの一戦は、バジリオにとって世界的な舞台でその才能を見せつけるチャンスでもある。
何百万人もの観客に注目され、高額な賞金とボーナスがかかった世界最大の格闘技団体ONEで戦うことは、バジリオにとって生まれ育った貧しい環境を抜け出すことを意味する。
バジリオはONEチャンピオンシップに対し、幼い頃の環境が成功への後押しになったと話している。
「お金がなければ、新しいものを買えないので、あらゆる物事を大切にするようになる。このおかげで、自分の目標や成し遂げたいことを達成するためにもっと集中するようになって、決意が固まったと思う」
「自分は集中して、望んだものを手に入れるまで走り続けるんだとわかっていた。こういうメンタリティーでキャリアを築き上げてきた」
バジリオはブラジル・サンパウロ出身。世界有数のグラップラーとしての地位を築き上げた現在も、初心を忘れることはない。
両親からは誠実であることや他人を敬うこと、そして決してあきらめないことを学んだと説明している。
「両親は人を貶めることなく、ベストを尽くすことを教えてくれた。2人とも世界は広く、誰にでも独自の世界がある、ということを教えてくれた」
「自分自身にも他人にも誠実であること、恐れずに目標を追うこと、そしてチャンスが訪れたときはちゅうちょしないこと、つまり助けを求めることを恐れず目標達成するまで探究し続けることを教えてくれた」
バジリオは、若い頃からブラジリアン柔術で国際的に成功するという夢を追い求め、早く大人になるよう強いられた。
当初は収入を得るのは簡単ではなかったが、厳しい練習をこなしながら日々の糧を得る方法を学んだ。そして現在でも支えてくれた周囲の人々への賛辞は惜しまない。
「家を出て自立したけれど、これは1人の力でできたことではない。近しい人々のおかげでもある」
「14歳のとき、初めてもらった給料の200レアル(約6000円)をどう管理するかを学んだ。この金額で何も持っていなかった親しい友人も助けていた」
バジリオは確かに長い道のりを歩んできた。
そして2022年11月にONEデビューを果たし、ミレーナ・サクモ(ブラジル / 日本)に一本勝ちとした。この際、5万米ドル(約770万円)のパフーマンス・ボーナスも獲得した。
貧困から抜け出し、多くの人々が想像しなかったであろう水準の成功を遂げられたのは、不滅の信念と努力ゆえ、と話している。
「自分はいつも、どうにかして成功するんだ、そして誰も貶めることなく、ただ自分のベストを尽くせばいいんだ、と強く自分に言い聞かせていた」
「懸命に努力して、いろんなことを学ぶためにたくさん勉強して、そしてありがたいことに夢のような人生を送っている。これからも自分の人生を変えるために戦い続ける」
「柔術を始めて16年、ピークはこれから」
現在はONEで活躍しているビアンカ・バジリオだが、現状に満足することはない。
現在は快適な生活を送り、好きなことをしながら世界中を旅しているが、まだ達成したい目標があるという。
「現在の一番大きな夢は、両親にマイホームを買ってあげること。また、きょうだいの成長を助けて、自分と同じように格闘技を通じて子供たちを変える手助けをしたい」
努力と信念をもって貧困から抜け出したバジリオは、今後もこうした姿勢で新たな高みを目指し続けると言う。
「自分は戦うことで、他のいろんなことも成し遂げたいと思っている。自分はこのために生まれてきたのだから、成し遂げてみせる。自分がやることは信じているし、神のご加護があれば不可能はない」
「柔術を始めてまだ16年で、これまでキャリアで最善を尽くしてきたけれど、まだまだピークには到達していない。過去や現在の自分の状況にはとても感謝している。神様はいつも一緒にいてくれるし、いつも自分のことを思ってくれていると思っている」