【8/16大会】「パンチ作戦奏功」新王者エナッシが振り返るペッダム戦
ONEデビュー戦の中でも、イリアス・エナッシ(オランダ)の「ONE: DREAMS OF GOLD」での ペッダム・ペッティンディーアカデミー(タイ)との対戦ほど印象的な試合はなかなかないだろう。
8月16日(金)、タイ・バンコクでONEフライ級キックボクシング世界タイトルを奪取したエナッシ。第3Rでの鮮やかなKO勝ちに、インパクト・アリーナを埋め尽くしたペッダムのファンは息を呑んだ。
ユトレヒト出身のエナッシをバンコクで待ち受けていたのは、地元選手ひいきの観衆だけではない。彼の対戦相手は、ONEで最も危険なアスリートの1人だった。
ペッダムはONEスーパーシリーズで4戦全勝を果たしている。ほとんどの試合では、トレードマークの左回し蹴りを武器に戦ってきた。
だが、インジュリータイムを要した一度のローキックを除いては、ペッダムの最大の武器を封じ、自らの攻撃に転じていくことはさほど困難ではなかったとエナッシは語る。
「股間にハードなキックをお見舞いされた時は、参った」と、エナッシは認める。
「自分の方がスムーズにキックできた。ヒットしたところを見ただろう」
第1Rでもエナッシは効果的に蹴りで攻めたが、優勢に転じたのは第2R、重いパンチを遠慮なく繰り出し始めてからだ。
カウンターの力強いフックでペッダムを驚かせたエナッシは、そのまま猛進してヘッドとボディーへのラッシュを決めた。激しいブローでダメージを受けたペッダムはペースを崩し、強敵としての本来の姿を見せることなく、試合を終えた。
「自分らしい試合をしたと思う。いつも通りの戦い方だ」と、エナッシは説明する。
「インターバルの時に、コーチからもっとパンチを使うようにと言われた。それがターニングポイントになったんだ。ペッダムはパンチに対しては成すすべがなかった。第3Rからは、コンビネーションでより多くのパンチを打つようにした」
第2Rで効果を見せたパンチを多用するアプローチは、第3Rでは決定的なものとなった。
一度、切れのあるパンチをヒットさせたエナッシは、そのまま全身へのラッシュを仕掛け、ペッダムはたまらずダウンした。一度はカウント前に立ち上がったペッダムだが、足元はふらついたまま。再度のラッシュは世界王者を完全に陥落させるのに十分だった。
今回の勝利はエナッシにとって7回目、最も権威ある世界タイトル獲得であるとともに、プロとしての35勝目となる。エナッシは名実ともにフライ級の王者になったといえるだろう。
若干23歳のエナッシだが、世界最大の総合格闘技団体ONEチャンピオンシップで長く成功するアスリートになることを夢見ている。数多くのフライ級精鋭アスリート達との対戦への期待にも胸を膨らませる。
「ONEに参戦できることを誇りに思う」と、エナッシは言う。
「この舞台に参加できることがとても嬉しい。機会を与えてもらったことに心から感謝している。今後も、よりよい試合をしていきたいと思っている。でも今はまず、勝利を祝うよ!」