【10/7大会】MMA王者アンドラージ、久々のキックで世界戦「歴史に名を残す」
ONEバンタム級MMA世界チャンピオンのファブリシオ・アンドラージ(ブラジル)は、他競技でもタイトルを獲得するONEチャンピオンシップ初の総合格闘家になるチャンスを手に入れた。
10月7日(土)の「ONE Fight Night 15」で、アンドラージは空位となっているONEバンタム級キックボクシング世界王座をジョナサン・ハガティー(英国)と争う。
アンドラージはMMAに完全転向する前は打撃系競技で40勝3敗の戦績を築き上げており、前々から他競技への参戦を思い描いていたという。
このため、今回キックボクシングルールによる世界タイトルマッチがオファーされた際には、承諾する準備が整っていた。
アンドラージは、タイ・バンコクで行われる一戦を前にこう話している。
「MMAに完全転向する前は、キックボクシングで契約していた。昔から興味はあったんだ。ただ、MMAのキャリアを積み重ねていたから、結局実現しなかっただけだ」
「だが、今こうしてチャンスが巡ってきた。キックボクシングのチャンピオンになるということは、まだ自分のキャリアでは実現していない」
アンドラージはONE参戦以来MMAで7戦無敗とし、今年2月にはジョン・リネカー(ブラジル)を倒してバンタム級のタイトルを手に入れた。
さらに、直近4戦の勝利はすべて打撃で決めており、スタンド戦での強さを証明している。こうした勢いに乗りながら歴史に名を刻むべく、ハガティーとの対戦に臨む。
さらには将来的には3競技でのタイトル獲得も否定してはいないものの、現在は目の前の試合に集中しているという。
「キックボクシングとMMAでチャンピオンになるという、誰も成し遂げていないことをやるチャンスを手に入れた。この試合の最大のモチベーションはこの点だ」
「2競技で世界チャンピオンになれれば、歴史に名を残すことになる。もちろん、ムエタイ(でタイトルを獲得する)という可能性もあるだろうけれども、今のところは考えてはいない。一歩ずつ進めていく」
「現在の焦点はキックボクシングのベルトだ。だが、(ムエタイへの挑戦は)間違いなく将来的には可能性がある」
「自分の方がキックルールに慣れている」
ファブリシオ・アンドラージは、ジョナサン・ハガティーを侮るようなことはしない。ハガティーは元フライ級ムエタイ世界チャンピオンで、現バンタム級ムエタイ世界チャンピオン。地上有数のストライカーとされている。
だが、どんな選手にも弱点はあり、アンドラージはハガティーの弱みを見つけたとしている。このため、今回の試合では会場のルンピニースタジアムのまぶしい照明の下で、その弱点をあぶりだそうと意気込んでいる。
「ハガティーは素晴らしい対戦相手だ。ムエタイ界の何人ものビッグネームと対決したことがあるし、前はフライ級で、そして現在はバンタム級のチャンピオンだ。だから、絶対にすごい試合になると思う」
「彼はテクニカルな選手だ。対戦相手のミスを突くのが上手い。試合を読むのも上手い。エルボーが強みだが、この試合では使えないだろう。キックボクシングルールだから」
「弱点は、ブローを上手く受けられない点だ。だから、試合を有利に進めるために、そこを突くつもりだ。」
今回の試合は、ハガティーが慣れ親しんだムエタイではなく、キックルールで行われる。
一方、総合力が試されるMMAという競技からキックボクシングへの転向の方が難しく、アンドラージが不利と見る向きもある。ただ、自身は過去の経験がアドバンテージになると考えているようだ。
2019年までは何十試合ものキックルールの試合に出場していたうえ、常にスタンド戦に重点を置いた戦い方をしており、ハガティーをフィニッシュするために役立つであろう身体的・戦術的特性においても優位に立てるという。
「しばらくキックルールでは試合をしていなかったけれども、自分の方がキックルールに慣れているので、有利だと思う。打撃のトレーニングは欠かしたことがない」
「打撃では自分の方がパワーがあると思う。それに、自分の方が試合ではアグレッシブだ。試合の際にはこれらが自分のアドバンテージになって、相手をノックアウトできるだろう」