【9/30大会】ワンダーガール、特別打撃マッチでMMA女王のションと対戦「大きなチャンス」
“ワンダーガール”ことナット・ジャルーンサック(タイ)とション・ジンナン(中国)は、9月30日(土)にシンガポールで開催される「ONE Fight Night 14: Stamp vs. Ham」で新たな歴史を切り開こうとしている。
両者は、ONE初となる女子ストロー級特別打撃マッチで対戦する。
“ワンダーガール”は最近ムエタイからMMAへ転向したが、たとえ違うルールでも自身の階級の世界チャンピオンであるションと対戦するチャンスを前に「ノー」とは言えなかった。
“ワンダーガール”は試合についてONE編集部にこう話している。
「ちょっとびっくりした。特別ルールと聞いて(昨年の「ONE X」で)デメトリアス・ジョンソンとロッタン(ジットムアンノン)がやったような1ラウンドは打撃で、もう1ラウンドがMMAというようなルールだと思っていたから。最初は『どうして?』と考えたけれど、対戦相手を聞いて『やらない理由がある?』と思った。この試合がしたいと思って、受け入れた」
「彼女と戦えるなんて、(キャリアを築く)大きなチャンスになる。チャンピオンと対決する機会を与えてくれたONEには感謝している。ベストを尽くす」
ションは2018年に世界王座を獲得して以来、女子ストロー級MMAの頂点に君臨し、7度の防衛に成功している。
さらに、元中国のボクシング代表で、ONEでもその強烈なパンチ力を何度も見せつけてきた。
パンチしか使えないルールとあって、“ワンダーガール”はこの試合は厳しい戦いになると予想しているが、同時に最高の対戦相手に自身のスキルを試すチャンスだと喜んでいる。
「ションはボクシングの経験があり、小さいグローブでの試合経験は自分よりも豊富だ。パンチもすごい。自分にとって厳しい戦いになると思うけれども、うれしい」
「強いファイターと戦うのが好きだ。自分はアンダードッグかもしれないけれども、目標は強い相手と戦うこと。弱い相手と戦って無敗をキープすることじゃない」
「全力を尽くす。勝敗に関わらず、こういうことをやるのは楽しい。それに、自分のほうが経験を積んで向上していく立場にある。(アンダードッグと言われることも)チャレンジのしがいがある」
五輪ボクシング金メダリストとトレーニング
“ワンダーガール”ことナット・ジャルーンサックは、ション・ジンナンとの特別ルールの打撃マッチではアンダードッグと見なされているが、勝算がまったく無いというわけでもない。
直近の試合の「ONE Friday Fights 26」での負傷により、パンチに重点をおいトレーニングをしてきたため、この点が今回のションとの対決で生きる可能性がある。
さらに、この試合に向けて2004年アテネ五輪でボクシングの金メダルを獲得したマヌス・ブンジュモンに協力を要請している。
しかし一方で、バックボーンのムエタイから新しいルールに順応することへの難しさも感じているようだ。
“ワンダーガール”はこう説明する。
「試合準備のためにマヌスにトレーニングをお願いした。トレーニングは順調だし、彼とのトレーニングはいい感じだ。いろんなことを教えてくれる。ボクシングではフットワークと頭の動かし方が大切だから」
「ちょっと難しいところもある。ティープやキックはできないし、両手と上半身しか使えないから」
“ワンダーガール”はONEのケージ「サークル」で何が起こっても良いようにあらゆる準備をしているが、かっちりとした戦術を組むよりも、まずはションの戦いぶりを見極めるつもりだという。
そして、世界クラスのトレーニングと打撃競技での経験を生かし、ゴングが鳴ればすぐさま試合に適応する準備が整っているようだ。
「ゲームプランはよくわからない。ションは前に出ること、後ろに下がること、両方の戦い方ができる。だから、彼女がどう出るかで自分のゲームプランは変わる」
「ベルトがかかっていない試合だし、どう来られるかはわからない。特別ルールの試合だから、彼女は前に出てアグレッシブに攻めてくるかもしれないし、安全策をとって得点を狙うかもしれない」