【10/13大会】母親は日本人のジャネット・トッド「家族の前で試合、楽しみ!」
10月13日(日)に東京・両国国技館で開かれる「ONE:CENTURY 世紀」。第1部で待ち受ける一戦に向けて、ジャネット・トッド(米国)は言葉には表せない思いを抱えている。
相手はムエタイの強豪で、ONEデビュー戦となるエカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)。このイベントは、ONEチャンピオンシップの記念すべき100回目の大会。参戦すること自体が、彼女にとってとても栄誉なことだ。
だが、トッドにはそれ以上の意味がある。
トッドは国際アマチュアムエタイ連盟(IFMA)のパンアメリカンムエタイ王者に2度、輝いた実力者。対戦してみたかったヴァンダリーバと試合ができることはもちろんだが、とうとう、日本で試合をするという夢が叶う時が来たのだ。
トッドの母親は日本人であり、彼女には日本の血が色濃く流れている。世界一流の技を東京で披露できるのは、この上ないチャンスだ。
「なによりもまず、このイベントに参戦できるチャンスをもらって本当にうれしい」
「デメトリアス・ジョンソン(米国)と同じイベントで戦えるなんて夢のよう。それにアンジェラ・リー(シンガポール)が第1部の最後を飾る。彼らと同じ舞台に立てるなんて、本当に信じられない」
「それに、日本の家族・親戚や友人の前で戦えるなんて、本当に夢が叶ってうれしい」
日本での試合を前に気持ちは高ぶっているが、ヴァンダリーバと手を合わせる時は、感情を抑えなければいけないと分かっている。
「戦いにプレッシャーは付き物。そのプレッシャーにどう対処するか、これまでに学んできたと思っている。ピリピリしやすくなっているが、正直、楽しみで仕方がない」
「日本にいる家族や親戚は、自分の試合を生で見たことがないからね。それに自分は、キックボクシングと同じくらいムエタイで戦うのが好き。もともと格闘技に出会ったのはムエタイが最初だったし。本当にわくわくすることだらけ 」
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トッドが前回、ムエタイ・ルールで戦ったのは今年2月の「ONE: CALL TO GREATNESS」。キックボクシングとムエタイの2種目でONE世界王者に輝くスタンプ・フェアテックス(タイ)を相手に、世界タイトル戦に挑んだ。この試合がトッドにとってのONEデビュー戦だった。
トッドは惜しくもベルトを逃したが、最終第5ラウンドまで戦い観衆を沸かせた。
そしてそれ以降は、キックボクシング・ルールの試合で圧倒的なパフォーマンスを見せてきた。
5月のワン・チンロン(台湾)戦では、第2ラウンドに3度のノックダウンを奪ってTKO勝ち。続く7月には、ワンのチームメイトで元アトム級キックボクシング世界王者のチュアン・カイチン(台湾)を判定で下して勝利を挙げた。
トッドはムエタイのトップ選手、ヴァンダリーバを対峙するのを楽しみにしている。
ヴァンダリーバはベラルーシの首都ミンスク出身の28歳。ムエタイ世界王者に3度輝いた実績の持ち主で、ヨアナ・イェンジェイチック(ポーランド)を始め、数々の強敵を打ち破ってきた。
「こういうタイプの選手たちとずっと戦っていきたい」とトッドは話す。
「経験があって、もっと強くなれるよう自分を駆り立ててくれる人。強い相手ほど、自分のベストを引き出してくれるから」
「自分が本当に楽しみにしているのはそういうこと。ONEチャンピオンシップにはその機会をくれたことを感謝している」
この試合でトッドが対応しなければいけないことは2つある。ヴァンダリーバの豊富な経験と、その身長だ。ヴァンダリーバはトッドより、身長が10cm高い。
トッドにとっては扱いにくい試合になるが、トッドとヘッドコーチのブライアン・ポープジョイは、ヴァンダリーバを破る青写真を既に描いている。
「ヴァンダリーバは間合いが広く取れる。それは間違いない。長いリーチを生かして攻撃してくるだろう」
「自分はフットワークを使って、間合いをコントロールしたいと思っている。攻撃するためには近づかないといけないからね。打つべき時に打つというのが、いつだって大事。彼女の長い足をカットして、自分のキックをボディに打ち込むつもり」
勝利を手にして両国国技館を後にすることができれば、トッドにとってこれほどうれしいことはないだろう。大切な人たちを喜ばせられるのだから。
その上3連勝ともなれば、スタンプとのONEアトム級ムエタイ世界タイトル戦も視野に入ってくる。
トッドの最終目標はスタンプを2度目となる挑戦で破り、さらに行く手に立ちはだかる敵を全力で倒すことだ。
「ここでの勝ちはものすごく大きい。日本で、家族や友人の前で戦うわけだから」
「でもいつも、どんな試合も大事だと思っている。再び世界戦に挑むための、新たな一歩になるわけだから」