ジョシュ・トナー「自分は王者サムエーの一番の脅威」
ジョシュ・トナー(オーストラリア)はONEストロー級ムエタイ世界王者に多大な敬意を表している。
先日発表された ONEチャンピオンシップの「公式アスリートランキング」でストロー級ムエタイ1位になったトナーは、2種目のストロー級で世界王者に君臨するサムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)を尊敬してきた。実際、伝説と呼ばれるサムエーのパフォーマンスはしばしば、トナーに畏敬の念を抱かせる。
サムエーに深い敬意を抱いてはいるものの、トナーは自分が次の挑戦者にふさわしいと信じているし、番狂わせを起こせると確信している。
「サムエーは驚異的なアスリートだ。全ての戦いでそれを証明しているし、高い格闘技IQを持っている。あらゆる対戦相手に適応できるように見えるし、常に一歩先を行っている。見ていて美しい選手だと思う」と31歳のトナーは打ち明ける。
「それでもサムエーも人間だ。負けることもある。自分たちが見てきた通りだ。彼が成し遂げてきた全てに敬意を持っているし、それを否定することはできない。でも自分は誰よりも、彼にとって脅威になると思っている」
そしてトナーはそのことを証明してきた。
今年2月、トナーはインドネシア・ジャカルタで開かれた「ONE:WARRIOR’S CODE」でアンディ・ハウソン(英国)と対決した。
ハウソンはムエタイの世界チャンピオンに5度輝いた実力の持ち主だが、トナーは果敢に打撃戦に臨んだ。
押しつ押されつの激闘は第2ラウンド、トナーが大振りの右フックから相手の頭と首の後ろを掴んで押さえつけ、頭に強烈なヒザを蹴り込んで終わった。
トナーは前評判を覆し、輝かしい経歴を持つベテラン、ハウソンをけた外れのフィニッシュで仕留めたのだった。そしてトナーはこの勝利が、タイトル戦挑戦の後押しになると考えている。
「前回の試合での勝利とパフォーマンスで、挑戦権を獲得できたのではないかと感じている。その試合ではかなり劣勢だと思われていたが、みんなが間違っていたことを証明した。自分と自分の能力を信じているし、オーストラリアの戦士としての精神も見せたいと思っている」
サムエーはムエタイの真の伝説だ。プロとして400試合以上を戦い、そのキックは史上最速クラスと考えられている。
シンガポールのメガジム「Evolve MMA」に所属するサムエーは、ONEスーパーシリーズに参戦するとすぐさま大活躍。セルジオ・ヴィールセンをノックアウトして初代ONEフライ級ムエタイ世界王者に輝いたのだった。
2019年5月に、体格で遥かに上回るジョナサン・ハガティー(英国)に敗れてベルトを失ったものの、階級を下げて再びトップに上り詰める。
まず2019年10月のムエタイマッチで、ダレン・ローラン(フランス)をノックアウトすると、今度はキックボクシングに切り替えて12月、ワン・ジュングァン(中国)をユナニマス判定で下し、初代ONEストロー級キックボクシング世界タイトルを獲得した。
さらに2020年2月、ロッキー・オグデン(オーストラリア)に対して一流のパフォーマンスを披露。初代ONEストロー級ムエタイ世界王者にも就任したのだった。
トナーはこれらの試合を1つ1つ注意深く見てきた。対戦相手のストロー級3選手を高く評価する一方で、サムエーが非常に洗練されたテクニシャンだと理解している。
「ダレン(ローラン)、ワン、ロッキー(オグデン)は悪くなかったと思う。彼らは偉大な戦士たちだが、ついていなかった。誰もがいつでも誰にでも勝つことができる。誰が相手で誰がより勝ちたいと思っているかにかかっている」
現在、トナーはサムエーに挑戦する機会を何よりも待ち望んでおり、その時のために既に準備を始めている。
新型コロナウイルスの蔓延により、世界中のアスリートたちにとって、トレーニングをしたり体を維持したりするのが難しい状況にある。だが、トナーはタイトル戦への挑戦を信じて、スキルを磨いたり、体調を整えたりしている。
何も保証されたものはないが、トナーには感じるものがある。そのを前に感じた時は、望んでいた試合が実現し、トナーは勝利を手にリングを後にした。
「自分はこの戦いのために、サムエーより長い期間トレーニングしてきている。この試合が実現すると自分にはわかっている。そして自分が勝てると分かっている」
「アンディ・ハウソンの時と同じ感覚なんだ。彼と戦いたくて、正式に試合が組まれるずっと前からトレーニングしていた」
それが現実になるかどうかは、いずれ分かるだろう。
Read more: 【2/7大会】ジョシュ・トナー、衝撃KOで急浮上「次はタイトル戦を」