ONEでのフィリピン黄金時代再来を夢見る王者パシオ
かつて5人のフィリピン人選手が総合格闘技の世界チャンピオンとして世界に君臨していた時代があった。だが、現在残っているのはたった1人だ。
ブランドン・ベラが新ヘビー級王者のアルジャン・ブラー(インド)にベルトを奪われてしまったため、ONEストロー級世界チャンピオンのジョシュア・パシオが、現在フィリピンの唯一の世界王者だ。
パシオはONEチャンピオンシップで自身の国が再び立ち上がる日が来ると、楽観的に考えている。
「今は、自分が唯一の世界チャンピオンだが、それは長くは続かないと思う。なぜなら、自分のチームメイトの何人かは、将来チャンピオンになると確信しているから」と、パシオは語る。
パシオは、有名なフィリピン格闘家を多数輩出した「チームラカイ」のチームメイトたちのことをそう語る。
ベラは2015年にタイトルを獲得したが、一方のラカイ勢は2018年に大飛躍を遂げた。
その年の6月23日、ジェヘ・ユスターキオがアドリアーノ・モラエス(ブラジル)を倒して、暫定王座を統一し、誰もが認めるONEフライ級世界王者となった。
続いて9月22日には、パシオが内藤禎貴(のび太)を倒し、ストロー級でタイトルを獲得。11月9日には、ケビン・ベリンゴンがビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)を敗ってバンタム級世界王座に就いた。
さらに、エドゥアルド・フォラヤンはアミール・カーン(シンガポール)を倒してライト級で2度目の王座に就いた。
この5人のタイトルホルダーは、自信に満ち溢れて2019年を迎えたが、その年の1月に2本のベルトを失った。しかし、そのうち1本はパシオのもので、すぐに奪い返した。
パシオは、猿田洋祐との1戦目で5ラウンドを戦い惜しくも敗れたが、その後、豪快にKO勝ちをして、ベルトを奪い返した。その時のようにチームメイトたちも立ち直ることができる、と信じている。
「自分たちは重圧に慣れているし、ワールドクラスの選手や世界チャンピオンと一緒に練習しているので(世界タイトルをもっと獲得できると)確信している」
「ジムでトレーニングするときは、エドゥアルド、ケビン、ジェヘといった世界チャンピオンと一緒にトレーニングしている。彼らは自分にとってまだチャンピオンなんだ」
もちろん、2021年以降、フィリピン勢の状況は大きく変わるかもしれない。フォラヤン、ユスターキオ、ベリンゴンの3人は最高レベルで戦うための武器を有するベテランだが、パシオは次世代の選手たちが国の最大の希望であると考えている。
「ダニー・キンガッドやステファン・ロマン、ジャンロ・サンジャオといった若手もいるし、彼らは将来世界チャンピオンになると信じている」
お馴染みのキンガッドは、フライ級のベルトをかけてモラエスと再戦する準備ができていると信じているし、ロマンは他の団体ですでにタイトルを獲得している。
チームラカイのヘッドコーチ、マーク・サンジャオの息子のジャンロは、18歳でONE参戦が決まり、注目を集めている。
さらに、女子アトム級の1位コンテンダーであるデニス・ザンボアンガなど、あと少しで世界タイトルマッチに手が届く位置につけている選手もいる。
現在は唯一の世界チャンピオンのパシオだが、近い将来、世界タイトルがフィリピンに戻ってくることを確信できる理由はたくさんあるのだ。
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