【6/10大会】王者ルオトロ、挑戦者ランガカーとの“ちょっとした緊張関係”
ONEライト級サブミッション・グラップリング世界王者のケイド・ルオトロ(米国、20)は、かつてブラジリアン柔術界の天才と評されていたが、この1年で格闘技界全体から注目を集める有数のアスリートになった。
このため、そのベルトを狙う危険な対戦相手にも事欠かない。6月10日(土)の「ONE Fight Night 11: Eersel vs. Menshikov」のコーメインイベントで迎え撃つ挑戦者もそうしたエリート選手の1人だ。
タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで行われる同大会で対するは、トミー・ランガカー(ノルウェー)。
この注目の一戦を前にルオトロは、2022年にグラップリング界で最も権威のあるタイトルを獲得したことで、ある種の変化を感じるようになったと説明している。
「柔術で最も重要なタイトルをとり始めている。ONEチャンピオンシップやADCCなどだ。みんながこれらのタイトルを欲しがっている。自分から奪いたがっている。だから、自分は狩る側というより、狩られる側になった気分だ」
こうした急激な変化を経験したルオトロだが、王者としての役割に臆することはないだろう。これまで挑戦から逃げ出したことはなく、こうしたメンタルは階級のトップに立つ今も変わりはない。
このため、ランガカーが強敵だと承知の上で、対戦を歓迎し、最終的には打ち勝つことができると自信を見せる。
ルオトロはランガカーについてこう話している。
「トミー(ランガカー)は、素晴らしい対戦相手だ。強くて柔軟性もあり、この2つの要素が組み合わさると、対応が難しくなる」
「非常にレベルの高い選手のヘナート・カヌートとの試合はすごかった。何度か大勝した経験もある。倒すのは難しい相手だ。けれども、誰かそれをできる人がいるとすれば、それは自分だ」
「アスリートとしてのスキルは間違いなく尊敬しているし、危険な対戦相手だ。けれども、自分を極めたり、追い詰めたりすることはありえないと思う。自分は絶対、一本勝ちか圧倒的な戦い方をすると思う」
「絶対に一本勝ちしなければ」
ケイド・ルオトロは、選手としてトミー・ランガカーに敬意を表しているが、今回のONEライト級サブミッション・グラップリング世界タイトルマッチをさらに盛り上げるような裏話も明かしている。
ルオトロが2022年のADCC世界選手権で金メダルを獲得した後、両者の間にちょっとした“いさかい”があったというのだ。普段は落ち着いているルオトロだが、この出来事で多少ライバル関係が激化したという。
ルオトロはこう振り返っている。
「ADCCの打ち上げパーティで、ちょっとふざけていたんだ。そうしたら、(ランガカーが)やってきて『いつ戦うんだ?』って尋ねたんだ。そして言葉を交わして、結論から言うと、彼にボディ・ロックを仕掛けたんだ。そして彼を空中に持ち上げた」
「『今ならこのままスラムしてやれるぞ。それを自分がしないのはラッキーだな』と言った。そしてさらに『宣言してやる、お前と戦うときは、サブミッションしてやるからな』って言った。だから、絶対にサブミッションしないといけないんだ」
「すごく面白かったよ。その後、メッセージのやり取りをした。問題は無かったけど、ちょっとだけ緊張感を生み出したかな」
ルオトロは喧嘩を売ったり、確執を作ったりするような選手として知られていない。しかし、こうした出来事の後では多少事情が異なってくる。
ルオトロは今回の試合では、王者としての仕事を成し遂げ、軽々しく対戦を申し込むのは得策ではない、と未来の挑戦者たちに思い知らせてやらなければならない。
ルオトロはこう付け加えた。
「ちょっとした緊張感がある相手との対戦は、何よりもワクワクする。ただただ、彼に一本勝ちをしたい。足を踏み入れたその瞬間から、サブミッションができるまで、かなり激しく戦うつもりだ」