【2/28大会】一本勝ちの江藤公洋「作戦うまくはまった」
江藤公洋は2月28日(金)に開かれた「ONE:KING OF THE JUNGLE」で、地元シンガポールのアミール・カーンを相手に見事なサブミッションで勝利。「ONEウォリアーシリーズ(OWS、ONEの人材育成、発掘のための大会)」から這い上がってきた選手として、最も注目を集めていた所以を世界に思い知らせた。
江藤は前回の、ONEチャンピオンシップのデビュー戦では緊張により、ベストの状態ではなかったと認める。だがONE2戦目となった今大会では、全く別人のような素晴らしいパフォーマンスを見せた。
対戦相手のカーンはONE史上最多のノックアウト勝ちを記録している選手だったが、江藤はわずか2分もかからずにサブミッションで試合を決めた。
江藤の勝利への道は既に、前回の敗戦から始まっていた。敗北から学び、成長し、いかに試合に臨むかを入念に準備してきたのだ。
「試合の直前は自分を信じて、全力を出し切るということに集中していた」
「気持ちが昂ると固くなったり、視野が狭くなったりするので、気持ちを落ち着かせて入るということを意識していた。これは道場では学べないことだ。試合の中で経験して、自分の入るメンタリティを考えてきたので、今回は自分が力を発揮できるベストのメンタリティに近づけたと思う」
江藤が集中できたもう1つの要因は、今大会が無観客試合で行われたことだ。江藤は規模の小さいOWSでの試合で活躍していたこともあり、観客のいないインドア・スタジアムの環境は江藤にプラスに働いたようだった。
「集中できた。前回の試合はカウンターを狙っていたため、自分から行けず相手の流れになってしまった」
「今回は自分が展開を作るために、先に行こうと思っていた。それが勝因につながったと思う」
自分のスキルに自信を持ち、相手の得意なノックアウトを恐れることなく、江藤はゲームプランを着実に実行した。
最初の攻撃はスリップに終わったが、すぐに立ち直ると15秒もたたないうちに、グラップリング(組み技)で身体能力の高さを見せつけ始めた。
「相手は低く構えてくると思っていた。レスリングとタックルを警戒して」
「スリップはしたが最初に自分がハイキックを打った。ハイキックを見せて上体を浮かせようと思っていたからだ。過去の試合の映像を見て、アミール(カーン)選手はミドルレンジ近くになるとフックで被せてくるという癖がわかった。そのフックにタックルを合わせたら、タイミングよく行けた」
「自分にアドバンテージができた試合の流れの中で、テイクダウンが取れた。そして肩固めを警戒して下を向いてきたタイミングで、狙っていたチョーク、という作戦通りに行けた。ゲームプランとして立てていたものが、うまくはまった試合だった」
江藤がカーンの背中を取るとすぐ、試合は終わった。リアネイキッド・チョークによりわずか1分39秒で、カーンからギブアップを引き出したのだ。
この勝利により、江藤は早くも次の対戦を心待ちにしている。既に足を踏み入れた世界の舞台で、注目を集めるようなマッチアップに挑み、観客の歓声を一身に浴びたいと願っているだろう。
江藤は名前の知れたトップ選手との対戦というだけではなく、面白い試合ができる相手を求めている。その中でも特に、申し分のない相手を視界の先に捉えている。
「勢いのある選手と戦いたい。元チャンピオンなどにはこだわりはない。ベルトに近い人たちと試合をして、早く上位の選手を倒してベルトに近づきたいと思っている」
「正直、エディ・アルバレス(米国)選手はやってみたいと思っている。そのあたりの選手とやれたら、面白い試合ができるし、話題にもなるだろう」
「まだまだフィニッシュの種類はたくさん持っている。もちろん肩固めは得意だが、それだけではないところを、楽しみに見ていてほしい。『どんなフィニッシュをするんだろう?』って。今回のように、自分から仕掛けてアグレッシブにフィニッシュする試合を見せ続けたいと思う」
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