【7/30大会】王者サムエー「チャンスがあればプラジャンチャイをKO」
ストロー級に転向し、ムエタイとキックボクシングの両方でベルトを獲得して以来、不動の地位を築いてきた生ける伝説サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)は、次の挑戦者が2競技での王座を脅かす存在であるかもしれないと警戒している。
37歳のサムエーは、7月30日(金)の「ONE: BATTLEGROUND」でプラジャンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)を迎え、ムエタイのベルトの防衛に臨む。同大会は、無観客でシンガポール・インドア・スタジアムから生中継される。
370勝47敗9分という驚異的な戦績を誇るサムエーは、プラジャンチャイが才能に溢れ、脅威のスピードを有し、破壊的な立ち技の武器を持っているとわかっている。さらに、ムエタイの大スターがプラジャンチャイの飛躍を助けたことも。
「プラジャンチャイはストロー級で最も危険な選手だ」とサムエーは認めている。
「彼は総合力の高いファイターだ。スマートで、技術も経験もある。だからこそ、この階級で最も危険なコンテンダーなんだ」
「武器の繰り出し方、トリックの仕方、彼のパフォーマンスは、(ムエタイの神様とされる)センチャイに似ている。センチャイとプラジャンチャイは最近トレーニングも一緒にしていた。プラジャンチャイは多くのことを学び吸収しているだろう」
とは言っても、ストロー級に転向してから負けなしのサムエーを倒すには万全の備えが必要だろう。
サムエーは、2019年12月に初代ONEストロー級キックボクシング世界王座に就き、その2ヶ月後に初代ONEストロー級ムエタイ世界タイトルも獲得した。
そして2020年10月、2競技王者として君臨するサムエーは、ストロー級ムエタイ1位のコンテンダーのジョシュ・トナー(オーストラリア)から3度ダウンを奪い、第2ラウンドTKOで圧勝した。
「あの試合はストロー級での初めての防衛戦だった。楽しみだったが、少し緊張していた」と、サムエーは振り返る。
「しかし、実際にリングに上がって試合をしてみると、予想以上のパフォーマンスができた。殴った瞬間相手の弱点がわかった。そしてそこにパンチを放って、ノックアウトした」
しかし、プラジャンチャイの弱点を見つけるのはそう簡単にはいかないかもしれない。
プラジャンチャイの戦績は337勝51敗3分。格闘技シーンで非常に輝かしい経歴を築いてきた。
ルンピニーとラジャダムナン・スタジアムの2つのムエタイ世界タイトルに加え、26歳のプラジャンチャイは2階級でWBAアジア・サウスのベルトも獲得している。
すでに驚異的なストライカーとして知られているが、4オンスのMMAグローブを使った今回の世界タイトルマッチでは、そのパンチはさらに危険なものになるだろう。
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サムエーは、若きライバルのスピードとコンビネーションを警戒するが、パワーはさほど恐れていない様子だ。
「自分が見る限り、彼の武器はそれほどヘビーじゃない。だが、コンビネーション攻撃をしてくるし、スピードもある」
「彼はトリッキーで、多くの戦術を持っている。強みは、スピードとコンビネーション攻撃だが、パワーについてはそれほど買っていない。彼の打撃はそれほどヘビーじゃない」
「自分が勝つために使えるのは、左からの攻撃、つまり左のパンチと左のキック。そこが鍵になるだろう」
「タイ人との戦いで、ノックアウトするのは簡単ではない。彼はスピードがあり、技術もある。難しいかもしれない。でもチャンスがあればやってみたい」
すべてのムエタイファイターは、見栄えのするノックアウトを目指すが、最近のプラジャンチャイのコメントはサムエーのモチベーションに火をつけたようだ。
挑戦者プラジャンチャイは、サムエーの弱点はアゴで、タイトルマッチでそれを暴いて見せると話した。
大胆な発言だが、現役王者サムエーはこれに反論する。
「アゴは臓器であり、臓器は肉でできている。パンチを受けたら何らかの影響はあるだろう」と、サムエーは語る。
「もし彼がパンチを放って、それを自分がただ立ち尽くして受けて、さらに彼だけがダメージを受けずに攻撃できると思っていたら、その考えは間違えだ。言うは行うより易し、だ」
これは、サムエーにとってプラジャンチャイと、批判者たちを黙らせるチャンスでもある。
2競技ONE世界チャンピオンで、ストロー級のトップコンテンダーを撃破してきたサムエーだが、キャリアのピークを過ぎ、衰えが見え始めているという声もある。
しかし、7月30日、サムエーは記憶に残るパフォーマンスをし、それらの疑問を打ち消すつもりだ。
「自分の実力を証明したいだけだ」
「誰もが、自分は戦うには年を取りすぎていると言う。この試合は自分の証明だ。まだ戦えるか、そうじゃないかという証明だ。この試合では自分の力を見せつけないといけない」