【9/6大会】着実に戦略実行で白星、マイケル・パンにベトナム熱狂
ベトナムの格闘技における歴史的イベント「ONE:IMMORTAL TRIUMPH」が9月6日(金)、フェザー級ムエタイマッチでのマイケル・パン(イギリス)のほぼ完璧な勝利によって幕を開けた。
ベトナムにルーツを持つパンは、会場に詰め掛けた観衆の前で、モハメド・ファクリ・ビン・ユソフ(マレーシア)を圧倒するパフォーマンスを見せた。
パンは英国・ロンドン生まれの30歳だが、両親はベトナムからの移民だ。パンがパンチやキック、膝や肘といったあらゆる攻撃を繰り出す度に、地元の観客が喝さいを浴びせ、ユナニマス判定による勝利を後押しした。
パンを勝利に導いた熱狂的なムードは、週の初めにベトナムに到着した時から始まっていた。
公開練習に始まり、殺到するインタビュー、所属ジムのコーチやチームメイトを交えた地元ジムでの歓談会まで、パンはまさにVIP待遇を受けた。
試合当日、リングへと続く花道に足を踏み入れ、凄まじい歓声に出迎えられた時、それら全てが頭に浮かんだ。そして彼をいっそう駆り立てた。
「公開練習なんてやったことがない。初めての経験だし、その初めてをベトナムで経験できたのがすごくうれしい」
「何もかもが夢みたいだった。みんなが自分を歓迎し応援してくれた。ちゃんとしたセレブみたいに扱ってくれて、自分がベトナム人だからってみんなが応援してくれた。彼らの熱気を感じて、とてもいい気分だった」
「より自信が深まったし、よりいい試合を見せたいって思うようになった。とても歓迎し応援してもらったから、彼らが誇りに思えるうようにしたいって思った。だからもっとやる気が沸いた」
「会場に出てきた瞬間、みんなが叫んでいたんだ。とにかくすごい経験だった」
もしパンが、ファクリという危険な相手と戦う周到な準備をしてこなかったとしたら、全ての自信は何の役にも立たなかっただろう。
幸い、パンはやるべき準備は全てしてきた。ファクリの最も危険な攻撃をくじくために、離れて攻撃する準備ができていた。
パンは順調な滑り出しを見せ、第1ラウンドが終わってコーナーに戻る頃には、勝利は目前に見えた。
「ファクリが距離を縮めようとしてくるのは分かっていた。クリンチとヒザが彼の武器。だから距離を保ち、そうさせないようにするのが自分のプランだった」
「彼がどういう攻め方をしてきても対応できると思った。パンチでもヒザでも、キックでもクリンチでも、何にでも対応できるようにトレーニングしてきたから」
「第1ラウンドで左フックとクロスをヒットさせたとき、相手のゲームプランがはずれたに違いないって気づいたよ」
パンは有利に試合を進めたが、むやみにノックアウトを狙って、逆に捕まるような展開にはしたくなかった。彼の人生最大の舞台だからだ。
あらゆる対策はしてきたが、小さな4オンスのグローブを使った試合では、たった1つのミスが命取りになる。だからパンは自分の戦略に徹した。
「KOできればよかったとは思うが、デビュー戦だし冒険はできなかった」
「デビュー時に馬鹿なことをして捕まりたくはなかった。だって総合格闘技用のグローブだからね」
「しっかり守ってパーリングして、たくさん足を使う。6週間の合宿を通じて、このようにディフェンスと精度の向上に取り組んできた」
自己満足ではないが、リングでの残りの時間を通して観客を沸かせることを、パンは楽しんだ。
チームとベトナムの熱狂的なファンに支えられ、ジャッジの採点に有利になるように、的確な攻撃を加えていった。
「(コーナーからは)今のままの感じでいけって言われた。あといくつか。右のオーバーハンドの後に左フックでのフィニッシュ、フェイントを入れること、そして楽しむこと」
「自分が何かをするたびに歓声が沸くのが聞こえたから、みんなを感動させて楽しませるためにもっと何かをしたいと思った。だから、より多くのエネルギーと自信をもらえた」
「(試合の終わりには)思った通りの展開で進んでるって感じたよ」