【2/7大会】復活KO勝ち松嶋こよみ「作戦ピタリ」
人生最大の試合での敗北という試練を味わった松嶋こよみが、キャリア最高のパフォーマンスを見せて素晴らしい復活を遂げた。
2月7日(金)にインドネシア・ジャカルタで開かれた「ONE:WARRIOR’S CODE」で、松嶋はキム・ジェウォン(韓国)と対戦し、見事に第3ラウンドTKO勝ちを収めた。2019年8月にONEフェザー級世界王者マーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)に挑戦し、敗れて以来の試合だった。
ノックアウト・アーティストとして知られるキムを相手に、厳しい戦いになると分かっていた。だが松嶋は約束通り、打撃とグラップリング(組み技)を組み合わせた攻撃でフィニッシュを決めて、ジャカルタを後にした。
27歳の松嶋は「作戦がぴったりとはまった」と振り返るが、キムをマットに倒すために何度も打撃を食らったし、そう簡単に倒れる相手でもなかった。
「向こうはスクランブルが強いだろうとは思っていたから、ああいう風になるのはわかっていた」
「打撃がとても上手なのはわかっていたことだが、第2ラウンドで距離の詰め方が一気に縮まってきた感じがして『強い選手だ』と思った。また、僕がテイクダウン狙いなのを知っていて、飛びヒザ蹴りなどをしてきた。そういうのを研究してこられていたから、やりにくい相手だった」
キムの攻撃は脅威だったが、松嶋は打撃の応酬に臨むことを恐れず、右パンチに活路を見出す。第2ラウンド中盤の一撃でキムは倒れるが、そこから簡単に終わらせてはくれなかった。
「第1ラウンドからタックルに入らずに右パンチを狙っていた。それが一番きれいに決まったのが第2ラウンドだったと思う」
「『これはいける』と思って距離を詰めていったが、逆に少しバテてしまった。そこは自分の作戦ミスでもある」
第3ラウンドが始まる前に、キムにはもう一度体勢を整えるチャンスがあったが、松嶋もその間、戦略を再調整して、試合をフィニッシュすることに焦点を当ててコーナーから飛び出してきた。
試合が再開して最初に松嶋が放ったパンチは、強烈な右オーバーハンドだった。そのパンチはキムをきれいに捉え、キムはかろうじて立ったまま応戦しようと試みる。だがさらなる右オーバーでキムは倒れ、松嶋が追い打ちをかけるようにグラウンドパンチを浴びせると、レフェリーが止めるのは時間の問題だった。こうして松嶋のトレーニングは報われた。
「第1、2ラウンドは僕が優勢だとキム選手も思っていただろう。だから第3ラウンドで、良い印象をつけたくて攻めてきたのだと思う。だからこそ、あのタイミングでうまくパンチが入ったと見ている」
「ボクシングの練習も、もちろんグラップリングの練習も、結果として繋がってきたように思う。あまり強く当てないようにしようと思って練習していたから、その結果としてタイミングよくパンチが入った。拳を傷めずに試合を終えることができ、そこは成長した点として評価している」
松嶋の今回のパフォーマンスは、かつて松嶋が日本を舞台に活躍していた頃、そしてONEデビュー戦で元ONEフェザー級世界王者のマラット・ガフロフ(ロシア)を倒した時のような、素晴らしいパフォーマンスだった。
だが松嶋は「ONE:WARRIOR’S CODE」は”古い”松嶋の復活ではないという。むしろ今の松嶋は、より強くなった”新しい”松嶋であり、フェザー級トップに再び挑戦する日まで、どんな相手も倒して上がっていくつもりだ。
「前より良くなっていると思う。次ももっと良くなっていると思うので、期待していてほしい。もちろん打撃面も強化していくが、もっと総合格闘技を効率よく戦えるように考えていきたい」
「この選手とやりたい、というのは特に感じていない状態だ。強い選手がたくさんいるので、その中でいいオファーが来ればうれしい。少し前に、対戦相手として面白い選手を聞かれた時は、ゲイリー・トノン(米国)選手と答えたし、タン・リー(ベトナム/米国)選手もそうだ。みんな強いから何とも言えない」