ニューイェン、ベルト奪還に意欲「タン・リーとリマッチを」
マーティン・ニューイェン(ベトナム/オーストラリア)にとって、2020年は思い通りにならなかったかもしれないが、この年に経験した挫折によりモチベーションは高まっている。
ニューイェンは、ONEフェザー級世界のタイトルを10月の「ONE: INSIDE THE MATRIX 」で、タン・リー(ベトナム/米国)に奪われた。壮絶な戦いの末、ニューイェンは2017年以来初めてベルトなしで年を終えることになった。
この独占インタビューで、ニューイェンは激動の過去12ヶ月間を振り返り、学んだこと、そして再びトップを目指すための計画を語った
ONEチャンピオンシップ: この1年はどうだった?学んだことは?
マーティン・ニューイェン: かなりクレイジーだった。今年の初めにタン・リーとの対戦が決まっていて、そのために3ヵ月間家族と離れて(アメリカ・フロリダの「サンフォードMMA」で)、トレーニングをしていたが、その試合が決まらず、オーストラリアに戻って隔離しなければならないと言われたんだ。
この新型コロナウイルスの状況はみんなおどろしたし、国境が閉ざされたり、次々に規制が打ち立てられていくことに不満を持っていた。我々は人類として、感染を広げないため、適応して前に進むことが必要だった。
最初は慣れるのが大変で、裏庭でしかトレーニングできなかったし、どこにマスク着用が必要だった。ここで学んだことは、特に自分はこうした状況でストレスを感じないってこと。どうして、物理的に変えられないことに、エネルギーを無駄にしなきゃいけないんだ?前向きに、適応して、次のことにエネルギーを使うべきだ。
ONE: ちょっと休んで、家族を優先できた?
ニューイェン: 何があっても家族の健康が第一。
家族の誰もコロナにならなくてラッキーだったし、親戚だってそうだ。一番身近な人でかかったのは、(ONEライトヘビー級世界チャンピオンで、ジムのチームメイトの)アウンラ・ンサンと、彼の家族ったので、フロリダに戻ってきた時は、潔癖症並みに本当に気をつけて、衛生保つように意識した。
チーム絵全体がコロナになっていたので、行くのは怖かったけれども、滞在した9週間の間、無事だった。自分は感染しなかった数少ない人間の1人だ。
オーストラリアに戻ってきてからは、こちらの医療システムは維持されていた。気にしていなかった少数派の人もいたけれど、オーストラリアの保健局は、これまで大丈夫だった。誰も(自分の家族から)感染しなかったこと、今でも感染してないことを神に感謝している。今後もかかりたくないけれど。
ONE: 最初のキャンプの後フロリダを去って、試合をせずにまた戻ってこなければならなかった。パンデミックの影響で他にも試合が中止になると考えていた?
ニューイェン: 100パーセント。みんな移動できるか常に疑心暗鬼になった。試合の2日前までずっとストレスを感じていた。自分のコーナーマンの1人が陽性になったので、タン・リーとの試合は危なかった。アウンラと自分がメインとコーメインイベントで、一緒にいたから戦えないかもしれないと言われた。
これだけ精神的にも肉体的にも大変なことをしてききたのに、試合が中止になる、と思った。何もうまくいかなかったし、思い通りにならなかった。
こうした損失や悪いい出来事がなければ、成長できない。そうでもなければ気が抜けた状態になるだろう。そのハプニングとタイトルを失ったことで、タイトルを持つことの意義を再び知って、取り戻すために今まで以上に努力するようになった。
ONE: 試合は結局10月になった。その結果を消化した今、どのように振り返っているか?
ニューイェン: 振り返ってみると、何が起きて何が悪かったのかが分かった。ゲームプラン、事前に知っていたこと、最後の9週間で取り組んできたこと、を実行しなかった。恐怖で最悪の1週間を過ごし、シンガポールの部屋で1日23時間も隔離されていたので、感情的になっていた。人生で初めて、大きな不安感に苛まれた。
通常、ファイトウィークは仕事が終わっているので、コーナーマンとリラックスして過ごすが、部屋に閉じ込められたんだ。常に戦いのことを考えていて、いろんな感情が渦巻いていた。精神的に消耗していた。
感情を溜め込んでいたので、ただ誰かを傷つけて戦うことだけを考えていた。これまでやってきたことを気にもしていなかったし、尊重していなかったし、タイトルや自分の立ち位置も尊重していなかった。ただ試合に出てパンチしたくて、それをやった。そして、その代償を払った。
こんなふうに戦ったことはない。打撃を与えるため、1発か2発打った。相手が誰でも関係なかった。でも、普通はそんな感じじゃない。でも、試合はあったし、それが試合であったこと。相手は勝ちに来たのに対し、自分は戦いに来た。それが違いだ。
自分にとって、そのパフォーマンスや戦いぶりは非常にショックだった。試合で負けて、フィニッシュされて、タイトルを守れず、非常に残念だ。最終的には、どんな敗北からも立ち直って強くなることはできる。今はただ黙々とトレーニングをするのみで、再戦が決まったら、自分の戦い方を世界に示すつもりだ。
ONE: 長期にわたって階級を支配してきたが、すぐにタイトルマッチをしたいか?もしくはゲイリー・トノン(アメリカ)といったトップコンテンダーとしたいか?
ニューイェン:最終的な目標はリマッチで、ファンが望むことを与えたい。3年間タイトルを保持し、4回防衛してきたから意味があると思うし、タン・リーも再戦を望んでいると思う。
しかし、乗り越えなければならない相手があり、それがゲイリー・トノンだ。だから、ONEがそれがいいなら、タイトルのためにすぐ戦うし、いい試合になるだろう。個人的には防衛戦でトノンと戦いたい。それには、まずリーを倒してタイトルを取り戻さないといけない。
現在、キャンプの前段階で、準備を始めようとしているところだ。だからいつでも理マッチをお願いしたいと思う。認めてもらえるか、それともあと2、3勝挙げてからかは、見てみたい。
ONE: トレーニングを再開した今、ONEのケージ「サークル」に戻りたい時期について、何か考えは?
ニューイェン: 3月を希望している。普段はチームとここ(シドニー)一緒に3、4週間準備をして、持久力をアップさせて、フロリダに行く。でも今回は、制限を設けるつもりだ。
前回は8週間ずっとフロリダにいたが、今回は4週間だけにして、仕上げる。その後試合の週だ。だから、いつ試合のオファーが来るかにもよるが、3月に向けて準備をしたいと思っている。
Read more: アウンラ・ンサン「2021年はベストな自分を披露」