【8/27大会】シッティチャイ「キックだけじゃないと証明したい」
現代の打撃競技のレジェンドとされるシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)は、キックボクシングの強豪との対戦を予定していたが、直前に相手が負傷し、代わってルーツのムエタイで試合に出ることになった。そして、シッティチャイはこの対戦を楽しみにしているようだ。
シンガポールで事前収録された8月27日(金)の「ONE: BATTLEGROUND III」で、シッティチャイは、親友でありパウンド・フォー・パウンドの強豪、タワンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)を相手に、ムエタイのフェザー級マッチを行う。
過去7年間、ほとんどムエタイマッチを行ってこなかったシッティチャイだが、今回の緊急マッチはアピールの機会と捉えているようだ。
「タワンチャイに勝てば、自分が他のムエタイボクサーよりもタイボクシングの技術を応用できるムエタイファイターであると証明できる」と語る29歳のシッティチャイ。「キックボクシングだけが得意ではないムエタイボクサーだと証明してみせる」
シッティチャイは、もともとムエタイ出身で、バンコクのスタジアムでスターとなり、2014年には権威あるルンピニー・スタジアムの世界タイトルを獲得している。
しかし、タイトル獲得後は新たな挑戦を求め、キックボクシングに転向し7年間専念。7度Gloryライト級キックボクシング世界チャンピオンになり、パウンド・フォー・パウンドのトップアスリートと見なされ、大きな成功を収めてきた。
この成功を引っ提げ、ONEスーパーシリーズに参戦し、現在は初代ONEフェザー級キックボクシング世界王座を目指している。
しかしデビュー戦では、ランキング2位のスーパーボンに僅差の判定負けを喫し、ONEでのスタートは順調とは言えなかった。
そのため現在ランキング4位のシッティチャイは、7月の「ONE: BATTLEGROUND」で5位のタイフン・オズカン(トルコ)戦で巻き返しを図ろうとしていたが、オズカンは手の負傷で出場を断念。
傍観するしかないと思っていたシッティチャイだが、そこに思わぬ機会が転がり込んだ。「ONE: BATTLEGROUND III」でタワンチャイの当初の対戦相手であったバンタム級ムエタイのトップランカーであるセーマペッチ・フェアテックス(タイ)のコーナマンが新型コロナウィルスの陽性反応を示したため、試合がなくなったのだ。
「対戦相手が出場自体を決めたことを知って、ちょっとショックを受けた。けれど、今はムエタイに戻ってこれると思うと、ワクワクするよ」と、シッティチャイは語る。
シッティチャイはこのメインイベントでの試合が、大きな挑戦であると知っている。
公式にムエタイに参戦するのは2015年以来、さらに4オンスの総合格闘技用グローブを着用するのも初めてだ。
しかし、それでも恐れることはない。実際、この展開はONEとサインする動機のひとつでもあった。
「嬉しいし、感動したよ。ONEチャンピオンシップには、ムエタイやキックボクシングなど、いろいろなタイプのボクシングがあるので、その一部になりたいと思っていたんだ」
「ムエタイ用の小さなグローブでの戦うこともあるかもと既に予想していた。だからとても嬉しい」
もちろん、対戦相手は世界クラスのため、大きな挑戦になるだろう。タワンチャイはバンタム級ムエタイ4位コンテンダーで、この競技の有数のアスリートとして知られている。
22歳のタワンチャイは、ONEのベテランであるセンマニー・クロンスアンプルリゾート(タイ)を2度、3位コンテンダーのクラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)を3度倒している。
今年5月のONEデビュー戦ではショーン・クランシー(アイルランド)を相手に見事なヘッドキックで第3ラウンドにKOしている。
シッティチャイは、こうした同胞の優れた技術を認めており、この対戦では警戒しなければならないと考えている。
「タワンチャイはスマートなボクサーで、打撃は美しく速い。若くて健康な新星だ」と、シッティチャイは語る。
「タワンチャイの最も危険な武器は、首を狙った蹴りと左の蹴り、それにヒジ打ちだ。あのヒジは危険だ」
しかし、シッティチャイはタワンチャイが階級を上げてフェザー級で対戦するため、自分が有利になると考えている。
シッティチャイは、ONE参戦以来この階級をホームとしている。タワンチャイは普段は下の階級で戦っていることもあり、この点が大きな違いを生むと考えている。
「自分はこの階級のあたりでずっとやっているし、より強力な武器を持っていると思う。相手は自分の攻撃に耐えられないかもしれないが、自分は耐えられる。自分の武器の方が強力だから」
シッティチャイが、その武器を使ってタワンチャイを倒せば、ONE世界タイトルへの挑戦の機会も転がり込んでくるかもしれない。ONEフェザー級ムエタイ世界王者ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)への挑戦だ。そのチャンスをモノにして、タイトルを奪うことができれば、史上最高のムエタイボクサーとしての評判を確固たるものにすることができるだろう。
「この試合に勝って、ペットモラコットとタイトルを争うことになれば、素晴らしいチャンスだ。自分の名誉のためにベルトを奪う絶好のチャンスだ」
「国際的なタイトルは、自分に更なる名声をもたらし、多くの人に名前を知ってもらえることになるだろう」
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