【8/16大会】立ち技2冠スタンプ「しばらくは総合格闘技に集中」
「ONE: DREAMS OF GOLD」で、スタンプ・フェアテックスは非常に印象深い戦いぶりを見せた。
8月16日、メジャーな大会では初の総合格闘技ルールでの試合に臨んだスタンプ・フェアテックスは、負け知らずの「KOクイーン」アシャ・ロカを相手に終始優勢で、最終的にサブミッション勝ちを決めた。
ONEアトム級キックボクシングとムエタイの2種目で世界王者に輝いたスタンプが立ち技で試合を制するのはそう意外ではなかった。だが、スタンプはグラウンドでもアシャ・ロカの優位に立ち、ホームであるタイ、バンコクのファンを驚かせた。
「最初は立ち技のみで試合を続けていこうと考えていたが、コーチや集まってくれたファンにトレーニングの成果を見せたくなった」と、スタンプは言う。
「クリンチに持ち込んだ時、ロカの寝技はそこまで高度ではないと気がついた。だから、自信を持ってテイクダウンを仕掛けられた」
「スタンドで戦っている時も優位に立っている感覚はあったけれど、KOはできないと思った。彼女はとても粘り強かったから」
パタヤ出身、21歳のスタンプはロカをマットに引きずり下ろし、組み合いを制して、アームバーで第1Rフィニッシュを決めにかかった。
結局、第1Rではぎりぎり勝ちを収めることはできず、それには少々がっかりしたスタンプだが、より長い時間ケージに留まれたことは嬉しく思った。何しろ今年7月、ONEへの登竜門である「ONEウォリアーシリーズ」のデビュー戦では19秒で決着がついてしまったからだ。
第2Rを通して立ち技で試合を支配し続けたスタンプは、最終ラウンドで再びクリンチを用いてテイクダウンに持ち込んだ。
再度のグラウンド戦でスタンプは難なくロカの背後に回り、第3R1分29秒、リアネイキッドチョークを決めた。勝利の瞬間、同胞で埋め尽くされた観客席は大歓声で沸き返った。
スタンプは当然、次回の総合格闘技の試合までにより強くなりたいと考えているが、今回の試合での自分の戦いぶりにはとても満足している。
「総合格闘技デビュー戦としては上出来だった。満足のいく試合だったし、全体を通じて素晴らしい経験が得られた」と、スタンプは語る。
「サブミッションを決められてすごく興奮している。できるとは思っていなかったから。自分をすごく誇らしく思う。第1Rでフィニッシュしなかったおかげでより多くの経験を得られたし、違った形のサブミッションを試すことができて学びが多かった」
「今後、確実に必要なのは寝技のレベルを上げていくこと。立ち技は今でもかなり強いと思う。試合の後、コーチと話をして、どこを改善していくべきか意見を聞いた」
スタンプは、今回のチャレンジにおける自らの精神状態にも満足している。
成功を収めてはきたものの、世界最大の格闘技団体であるONEチャンピオンシップの試合で冷静でいることは難しかったとスタンプは認める。だが、今回は違っていた。
勝利の瞬間には感情をあらわにしたが、控え室から姿を現してからレフェリーが試合終了を告げるまでの間、スタンプは完全に平静を保っていた。
「今回の試合はいつもと違っていた。これまでは毎回すごく緊張して、試合前には吐き気がしてくるほどだった。でも今回はずっとリラックスした気持ちで臨むことができた」と、スタンプは語った。
「ONEでの試合に慣れてきているのだと思う。試合前のトレーニングキャンプにも、とても恵まれた。対戦中もトレーニング通りにできたことがたくさんあったので、緊張せずに戦えた」
「チームに誇りに思ってもらえたこと、みんなに自分がどれだけ上達したかを見せられたことが嬉しかった」
強敵、アシャ・ロカとの対戦での勝利は素晴らしい栄光であり、ONE女子アトム級世界タイトルへの道の第一歩となるだろう。とはいえ、MMAという新たな競技のトップアスリート達に挑戦するには、まだまだ準備が必要だとスタンプは考える。
しばらくの間は、ひたすら総合格闘技の多岐に渡るスキルセットの上達に集中し、女子アトム級世界王者への階段を一段ずつ着実に上り続けていくつもりだ。
だが、ムエタイやキックボクシングの世界タイトルの防衛戦の声がかかれば、受けて立つ気はあるという。
「総合格闘技で世界タイトルを目指す準備ができるまでには、あと5、6試合は必要だと思う。改善すべきところはたくさんあるし、焦りたくはないから」と、スタンプは続けた。
「対戦したい特定のアスリートがいるわけではない。どんな相手とでも戦ってみたい。誰との試合でも、必ず学びと経験は得られるから」
「将来的には、ONEが選んだ対戦相手が誰であっても準備はできているといえるようになりたい。でも今のところは総合格闘技に集中して、経験を積みたいと思っている」