【10/7大会】「レジェンド相手に特別な勝利」ムスメシが振り返る青木真也戦
10月7日(土)の 「ONE Fight Night 15: Le vs. Freymanov」で、現ONEフライ級サブミッション・グラップリング世界チャンピオンのマイキー・ムスメシ(米国)はONE参戦以来、一番記憶に残るパフォーマンスを見せた。
ムスメシは無差別級サブミッション・グラップリングマッチで、日本の青木真也に勝ち、3連続一本勝ちとした。しかも試合を決めたのは、“アオキロック”と呼ばれるストレートフットロックだった。
タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムであったこの一戦でムスメシは開始3分5秒で試合を決めた。
フィニッシュ自体は膝と足首を危険な角度で締め上げる“アオキロック”だったが、これはムスメシの得意技の一つだった。
2019年に4度目のIBJJF世界タイトルを獲得した際には、試合開始12秒でストレートフットロックを決めている。
技の生みの親である青木相手に、まさにその技を使って勝った意義を、ムスメシはONE編集部にこう語っている。
「これは、自分にとって最大の勝利の一つだ。現代柔術で一番好きなポジションの一つである“アオキロック”を、その考案者の(青木)シンヤに仕掛けられたんだから」
「ストレートフットロックは、自分が着衣ルールの柔術で多くの世界タイトルを獲得した頃に使っていた技だ。そして、そのストレートフットロックの変形が“アオキロック”。だから、この技を極めるには、その考案者に仕掛けることが一番だと考えたんだ」
いつもどおり対戦相手へのリスペクトを忘れないムスメシは、青木への賞賛も惜しまない。
青木はMMAとグラップリングの両分野で功績を残し、革新を引き起こしてきた。ムスメシはこうしたレジェンドとの対戦を「光栄」と表現する。
「これは特別な勝利だ。青木真也という考案者でありレジェンドに、この特別な技を決められたから。彼との対戦は光栄なことだ。試合の前には彼に『プロフェッサー、あなたと対戦できて光栄です』って繰り返し言ったんだ」
精神力の勝利「まだ体調はすごく悪い」
マイキー・ムスメシが青木真也と戦うためにリングに上がった際は、まだ食中毒の後遺症に悩まされており、まったく完全な健康状態ではなかった。
ムスメシはこう話している。
「まだ体調はすごく悪い。まだかなり倦怠感が残っている。伝染病みたいな感じだ。今もその状態が続いている」
こうした体調にもかかわらず、ムスメシは不屈の精神でこの試合臨んだ。IBJJF世界タイトル5度に加えONEフライ級サブミッション・グラップリング世界タイトルを獲得し、そして史上最高の米国生まれの柔術家としての地位を築き上げたのは、まさにこの不屈の精神のおかげだった。
ムスメシは肉体的な限界をどう乗り越えたかについてこう明かしている。
「体がどういう状態であろうと、止まっていてはいけない。体調が悪くても体を動かすことはできる。誰にでもそういう力があるんだ。だから休めと言われても、調子が悪くても、そういう心の声をシャットアウトする精神的な強さが必要なんだ」
ムスメシにとって、ベストとは程遠いコンディションで危険なサブミッション・アーティストである青木に挑む、という挑戦がモチベーションとなった。
そして決定的な勝利を手にした今、この自信が次回のONEの試合でも生きると感じているようだ。
「間違いなくつらかったし、難しい試合だった。でもそのおかげでモチベーションは高まったし、気持ちが悪くても調子が悪くてもできるんだっていうことを自分にわからせたかった。この教訓と経験は次の試合で生きるだろう」