【8/27大会】米でトレーニングの平田樹、「負けのおかげ」挑戦の契機に
MMAキャリアで初の黒星を喫したアトム級の“人造人間18号”こと平田樹は、思い切って新しい世界に飛び込むことにした。
22歳の平田は、米ニューヨークで4週間を過ごし、8月27日 (土)にシンガポール・インドア・スタジアムで行われる「ONE FIGHT NIGHT 1: Moraes vs. Johnson II」でのリン・ホーチン(中国)戦に備えている。
ホーチン戦は、平田にとって、3月の「ONE X」でジヒン・ラズワン(マレーシア)に敗れ、戦績を5勝1敗として以来の試合。
この初黒星は平田にとって、辛い経験だったが、ONEのケージ「サークル」での再起戦を前に、自身のスキルを磨くきっかけにもなったようだ。
平田はこう話している。
「日本に帰ってきた時に家族に『負けたからといって、これで終わりじゃない』と言われた。自分の中では負けたら終わり、ここで負けるのは違う、そんな気持ちだった」
「逆にこの負けがあったからこそ、アメリカに行くのもそうだし、自分の中でもっとやらなければいけないって思えたので良かったのかな、と思う」
日本には世界レベルのジムが多数あるが、米国は世界第3位の約3億3500万人を抱える。
このため平田は、太平洋を渡り、さまざまなトレーニングパートナーや格闘スタイルとの出会いを期待したようだ。
平田はこう説明している。
「(米国に来た理由は)いろんな選手がいるから。手足の長い選手、自分より大きい選手、女子選手がたくさんいるから」
「自分が対戦するのは海外の選手なので、行ってみよう、チャレンジしてみよう、と思って来た」
平田樹、“鬼コーチ”の下で打撃強化
平田樹は、米ニューヨークの「セラBJJ」や「ロンゴ・アンド・ワイドマンMMA」といったトップクラスのジムでトレーニングをしている。
この中でも最も重要な存在は、「アルティメット・ジム」のネスター・マルテだという。
グラップリングの名手として知られる平田は、マルテの下でムエタイのスキル強化にも注力し、より総合力の高いアスリートとしてアトム級のトップへの道のりを再び歩み出そうとしている。
平田はこう話している。
「ジムを分けて打撃、BJJ、ムエタイをやっている。一番多くやっているのは打撃だ」
「打撃のネスター(マルテ)コーチが厳しい。今回セコンドにもついてもらう。鬼のような厳しさで、毎回練習の後に『これは愛だから』って言われる(笑)。前回は2週間だけしか行けなかったので、今回は1ヶ月過ごしている」
「中学時代の柔道部の、きつかった頃を思い出すような練習をしている。ここで勝たなかったら何するんだろう、っていうくらい練習している」
平田の以前のリングネームは“ストロング・ハート・ファイター”だったが、その名の通り粘り強さに定評があった。そしてニューヨークでの生活を通じ、スキルのみならず、メンタル面もさらに鍛えられたようだ。
そして、8月27日 のリン・ホーチン戦では、こうしたニューヨークでのトレーニングの成果を披露してくれることだろう。
平田はこう付け加えた。
「自分はハートが強い選手と思っていたが、(米国で一緒にトレーニングをしている選手は)みんなもっと強い」
「(チームには)レベルの高い選手や、ボクシングの選手もいる。自分が本立ちに立って相手が変わっていくスタイルでスパーをやっている」
「みんな気持ちの強い選手が多いので、その中で自分も気持ちで負けたら全部負けるって思いながら、精神的に強化されている」