タイラー・ マグワイア、秋山成勲らウェルター級5人に照準
タイラー・ マグワイア(米国)が最後にONEチャンピオンシップの舞台に登場したのは2018年11月の「ONE: WARRIOR’S DREAM」。スウェーデンのハードヒッター、ゼバスチャン・カデスタムと空位だったONEウェルター級世界タイトルをかけて戦ったときのことだ。
接戦の5ラウンド戦終了間際、マグワイアはカデスタムの右のオーバーハンドを食らってダウン、そのままヒザで止めを刺され、プロ初黒星を喫した。
結果に関わらず、マグワイアはその試合の後で長い休養を予定していた。現役の米空軍三等軍曹でもあるため、その職務を果たすためにも古傷を治し、日々の辛いトレーニングから離れて精神的なリセットを必要としていたのだ。
「終わったらちょっとの間休養すると予定して、最後の試合に臨んだ。全てを出し尽くした」と、34歳のマグワイアは振り返る。
「昨年は、仕事でたくさんトレーニングをした。空軍がやれって言うことをね」
「負傷から回復するためにも、その時間を使った。最近実は、あまり試合を見ていないんだ。この期間は、強化や精神的な休養なんかに充てていた。5、6年はキャンプにいた気がするから、時間をとって自分を見つめ直すのに良かった。重要なことだ」
現在マグワイアは、完全回復した。ONE復帰を熱望しており、勝ち星を1つか2つ挙げればONEウェルター級世界タイトルに近付くだろう見ている。
カデスタムとのリマッチももちろん視野に入れているが、他の有名アスリートたちを相手に自身を試したいとも思っている。
ジェームズ・ナカシマ
マグワイアが対戦を熱望するアスリートの1人は、同じく米国選手のジェームズ・ナカシマだ。
ナカシマは12勝0敗と完璧な戦績を有しており、グラップリングの引き出しの多さでは群を抜く。その上、イタリア・ミラノを頻繁に訪れ、ONEフェザー級キックボクシング世界グランプリチャンピオンのジョルジオ・ペトロシアンと共に打撃の技術も磨いているのだ。
マグワイアはそれらの技術を高く買っているが、自分こそナカシマの底力を引き出せると信じている。
「彼はもっと称賛されるべき」と、マグワイアは言う。 「自分と一緒にケージに入ったら、意思の力の戦いになるだろう。どちらも鉄の意志を持っているから」
「スピードと打撃を見れば、自分の方に強みがあるように思う。だが、グラップリングでは、より防戦的になるかもしれないと思う」
「普通は自分は前に出るタイプだが、『げっ、テイクダウンされそう』という感じで、(相手のレスリング)対策をしないといけない。相手はハイレベルなレスラーだから」
「だが、対処する力は自分に備わっていると思う。世界最高級のグラップラーとトレーニングしてきたから」
アギラン・ターニ
マグワイアが対戦を望むもう1人のウェルター級アスリートは、マレーシアのアギラン・ターニだ。
「すごい競技者である彼とケージに入れれば名誉なこと」と、マグワイアは語る。
「好戦的で、負けん気が強いし、総合格闘技を通じて人生を変えた経験を持つ奴だ。避けては通れない。倒さないと」
ターニ撃破はそう簡単には行かないだろう。ターニは、戦績11勝4敗。ブラジリアン柔術茶帯を有し、打撃のスキルを磨き続けており、とんでもない逆境を克服した経験がある。
「奴は試合中ずっと楽しんでいるし、本当に総合格闘技が好きだから、フィニッシュするな本気で倒しに行かないと」
「奴は試合で、実力の全てを見せてはいない。寝てもすごいし、打撃も上手くなってきているし」
また、マグワイアはONEのケージ「サークル」の外でのターニについても称賛する。
「今まで出会った中で、最も誠実で優しい人間だ。ケージの中では冷血の殺し屋だなんてわからないだろうね」
秋山成勲
マグワイアはウェルター級の若きアスリートの名を挙げたが、一方でベテランの秋山成勲との対戦機会も熱望している。
秋山は世界レベルの柔道家であり、16年のキャリアを通じて強力なノックアウトパワーや、天賦のサブミッションを披露し続けてきた。
「こんな男とケージに一緒に入れれば名誉なことだ」と、マグワイアは語る。
「すごい経験だろう。あらゆる状況を経験してきた男だから、どんな局面でも答えを持っている。勝負事だから、残念ながら、浮き沈みはあるが、その経験は軽視できない」
「総合格闘技で見落とされていることは、窮地でのスタミナ対策だ。経験や高いレベルがあれば、スタミナに影響を与えないように上手く対処して、落ち着いていられる。普通の人みたいにエネルギーを使っているわけじゃないんだ。この点は大きい」
キャムラン・アバゾフ
ONEウェルター級世界チャンピオンのキャムラン・アバゾフ(キルギス)にもマグワイアは照準を合わせている。
「とにかくパワフルな奴だ。アスリートだし、常に上を目指す姿勢を持っている。総合格闘技のどんな場面でも強みを発揮してくる」
「世界の強豪アスリートの頂点だ。羨ましいね」
ONE世界タイトルを獲得するためには、最高のアスリートと対戦するばかりでなく、大舞台で細かい状況に対応しなければならない。マグワイアは、その大舞台こそアバゾフの強みが発揮される場だと語る。
「照明がついたら、勝負師になる。彼は脚光を浴びる。そのスポットライトを自分も浴びたい」
「プレッシャーで折れる奴もいるが、奴はそれが好きだと思うし、味方につける。一生懸命やっているし、それに値する。そいつを奪い取れるかどうかは、自分にかかっている」
マグワイアは、再び世界タイトルに挑戦する機会を楽しみにしており、アバゾフとの対戦はアグレッシブなスタイル同士のノンストップのエキサイティングな試合になると思っている。
「奴は違った考え方を持っている。奴は殺し屋だ。海の中のサメ。そこが好きだ」と、マグワイアは話す。「全試合で、顔面を狙ってきた。逃げたりしない。ミスを誘うために動きまくりながら、前に、前に、前に、プレッシャーをかける。この試合をやってみたい」
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