【2/26大会】ビクトリア・リー、プロデビュー戦白星「ほっとした」
ビクトリア・リー(シンガポール / アメリカ)は、2月26日(金)の「ONE: FISTS OF FURY」で、スニーサ・スリセン(タイ)を相手に宣言通りの白星を挙げ、プロ総合格闘技デビューを飾った。
16歳のリーは、シンガポール・インドア・スタジアムであったアトム級総合格闘技マッチで第2ラウンド、リア・ネイキッドチョークでスリセンをフィニッシュした。
ONEチャンピオンシップのアトム級世界チャンピオンのアンジェラとライト級世界チャンピオンのクリスチャンの妹という立場のため、リーには多くの期待が寄せられていた。だがデビュー戦では、ONEのケージ「サークル」のドアが閉まると同時に緊張を振り払った。
「最初にステージに立って、名前がアナウンスされたときは、クレイジーだった。本当にクールな経験で、心から楽しんだ」と、リーは振り返る。
「すごく緊張した。人生でこれまでやったことの中で一番大きなことで、会場に入るときにそのことを本当に実感した。でも『サークル』に入ったら、そういう考えを全部ブロックして、呼吸をした。それが頭をスッキリさせて、試合に集中して、出ていってパフォーマンスをするのに役に立った」
経験豊富なライバルを圧倒して、力強くサブミッションで勝利したように、パフォーマンス自体は見事なものだった。
だが、リーは次の対戦を前に、こなすべき宿題があることも分かっている。
「フィニッシュで勝てたことは嬉しいけれど、常に自分自身を向上させたいと思っている。早くジムに戻って、よりハードにトレーニングして、パフォーマンスを向上させたい」
リーの父であり、所属ジム「ユナイテッドMMA」のヘッドコーチでもあるケンも、娘のデビュー戦での活躍に感激した様子だ。
「本当によくやったと思う。娘のパフォーマンスには満足している」と、ケンは話す。
「16歳で初めての試合は世界最大の舞台で、相手は経験豊富な選手だった。(スリセンは)5戦しており、ONEでは3戦。ビクトリアはよくやった。相手を決定的にフィニッシュしたから」
リーとスリセンは、第1ラウンド開始時に打ち合い、柔道経験があるスリセンは美しいヒップスローを決めて、マットで戦いを繰り広げようとした。しかし、そこからはリーにとって有利な展開になった。
ポジションを返すと、背中を取って、リーはグラウンド・アンド・パウンドで試合を終わらせようとしたが、スリセンはゴングに救われた。
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第1ラウンドでのフィニッシュであれば、夢のようなスタートだったろうが、こうして時間ができたことで、リーは「サークル」の中で貴重な学びの機会を得ることができた。
第2ラウンド、リーは駆け出すと、すぐにリアネイキッドチョークで勝負を決めた。
「第1ラウンドではリアネイキッドチョークを狙っていたが、顎の下に腕が入らなかったので、パウンドでTKOを狙いに行った」
「第2ラウンドに入ったときは、第1ラウンドと同じような感じだった。気持ちを整理して『ゲームプランを思い出せ』と言い聞かせた」
「背中を取って、チャンスを待っていた。相手の頭が飛び出したのを見て、今度は完璧にチョークを仕掛けることができて、あとはただ、ぎゅっと絞り上げた」
ケンはリーが状況に対応し、基本に戻って勝利を挙げたことを誇りに思っている。
「娘はやるべきことをやったと思う。第2ラウンドの入り方は、何の問題もない。自分たちが注力しているのは、最後のゴングが鳴る前に相手を仕留めることだから」
多くの期待を背負ってデビュー戦に臨み、見事応じてみせたリーだが、レフェリーが試合を止めたとき、肩の荷が降りたような気持ちだったと認めている。
「ああ、それはもう、すごくほっとした」
「この試合に向けて、プレッシャーと気持ちが高まっていたけれど、試合が終わったら、ただ深い安堵を感じた。最高の気分だった」
スリセンをフィニッシュし、16歳とは思えないパフォーマンスを披露したリーだが、姉と兄のように世界タイトル戦で活躍できるかどうか、ファンは注目している。
だが、父のケンは急ぎたくはないようだ。娘の可能性を信じているものの、さらに厳しい試練に備えるためには、技術を向上させなければならない、と付け加える。
「(一番大事なのは)経験から学び、成長すること。そして、戦い方を向上させること」
リーも同意見だ。所属ジムと「サークル」で技術を磨きながら、次々と対戦相手に立ち向かっていくことだろう。
何よりも、ONEでの長いキャリアに向けて、しっかりとした基礎を築くための適切なペースが重要となる。
「(次の対戦相手は)とくに考えていない」と、リーは言う。
「何戦したいか決まっていない。できるだけ試合に出たい。ジムに戻って、これまで以上にハードにトレーニングして、ケージに(すぐにでも)戻れたらいいな」
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