【2/11大会】猿田洋祐 「バラートをフィニッシュし、次の目標へ」
元ONEストロー級世界チャンピオンの34歳の猿田洋祐は昨年9月、現王者ジョシュア・パシオ(フィリピン)に剥ぎ取られたベルトを奪還しようとしたが叶わなかった。だが今回の試合ではリセットボタンを押し、地上有数のユニークな総合格闘家として、自身のスキルを試す準備を整えている。
2月11日(金)にシンガポール・インドアスタジアムで開催される「ONE: BAD BLOOD」で、猿田はキューバの元五輪レスリング代表のグスタボ・バラートと対戦する。
バラートは、世界レベルのグラップリングスキルで知られており、身長150センチメートルと小柄ながら粘り強いスタイルで、大きな相手にもひるまず突撃していく。
現在ランキング3位の猿田はバラートのスキルに敬意を表しながらも、強豪ひしめく注目の階級で自身の存在をアピールしたいと考えている。
ONEチャンピオンシップ編集部とのインタビューで、猿田がパシオとの対戦や、バラート戦に向けての準備、ストロー級の新星、そして3月26日 (土)の「ONE X」で行われるロッタン・ジットムアンノン(タイ)とDJことデメトリアス・ジョンソン(米国)の特別ルールのスーパーファイトなどについて語った。
ONEチャンピオンシップ: 昨年9月にパシオとの3戦目でONEストロー級世界タイトル奪還を目指したが、叶わなかった。改めて思うことは?
猿田洋祐: 試合結果以外については後悔は無かった。試合に向けた準備などの面については充実したものだったし、自信もあった。でも勝負というのは一瞬で決まるし、勝ち負けが必ずつくものなので、しっかりこの結果を受け止めようという気持ちだった。
ONE: この試合から学んだことは?
猿田: 試合前のスイッチが中々入らなかった点だ。戦略や戦術の部分を意識しすぎた。もうちょっと戦う気持ち、闘争心が割合的に多ければ良かったと思う。セコンドの大沢(ケンジ)さんからもそう言われた。
長い時間かけて研究して頭の中でやることをイメージしていたので、相手をフィニッシュするとか、倒しに行くという闘争心が割合的には少なかったと思う。今回はその部分を全面に出していこうと思う。
ONE: 今回のオファーを聞いた時の気持ちは?
猿田: 一番最初は、リト・アディワン(フィリピン)との試合でオファーがあった。(アディワンの所属が)「チームラカイ」ということで、厳しい戦いになると予想していた。アディワンは(2位コンテンダーの)ジャレッド・ブルックス(米国)に負けてしまったが、自分の中ではすごく強くてトップレベルの選手だと思っていたので楽しみだった。
勝負したいと思っていたが、怪我で流れてしまった。その後すぐにグスタボ・バラート戦の話が来た。彼はスタイルは全然違うが、リト・アディワンより強いのではないかという感覚があり、喜んで試合のオファーを受けた。
ONE:バラートはどんな選手だと思うか?
猿田: 唯一無二の選手。彼みたいな選手は世界に一人しかいない。自分もストロー級では小さい方だが、自分よりも骨格が小さい選手を見たことはなかった。あとは気持ちの部分が強いと思う。
以前、タイの大会(2019年の「ONE: DREAMS OF GOLD」)を見に行った時に、彼がフライ級で20センチメートル以上リーチの差があるような選手(チャン・ロタナ)と戦っていて、最後まで打撃を振り回してタックルして、会場が盛り上がる試合をしていたので、前から気になっていた。ストロー級に落としてくるのではないかと思ったし、戦うことがあるのではないかと思っていたし、戦ってみたいと思っていた。彼は見ていても応援したくなっちゃうというか、試合を見るとファンになっちゃうような選手、魅力のある選手だと思う。
また、五輪のレスラーでもある。自分は格闘技を始める前に、世界レベルのアスリートになること、例えば五輪選手などに憧れていた。この歳になって、五輪レベルの選手と戦えるのは光栄だし、自分を試したいという気持ちがある。
ONE: 元五輪レスラーが相手だが、タックルには自信があるか?
猿田: ある。あの位の身長で、あのレスリング力のある練習パートナーを見つけるのは無理だ。だから、そこは本当に向かい合ってみないと分からない。
ただ、MMAの経験値というのは、僕は15年やってきたし、色々な選手と戦ってきた。戦略もパターンも色々と考えているが、その通りにうまくいかないことが多いので、試合の中で修正して勝ってきたことの方が多い。その部分が生かせると思う。
ONE: グラウンドでの戦いになったらどうするか?
猿田: 今まで戦ってきた中で、自分にタックルを入れてくる選手はあまりいなかった。逆に自分が打撃メインの相手に対してタックルをしていくということが多かった。15年格闘技をやってきて、自分が背中を付けるということはほぼなかったので、キープされないとかグラウンドでやられるというイメージはない。
ONE: この試合はどんな展開になると思うか?
猿田: もちろん良いイメージは持っているが、激闘になると思う。シーソーゲームになると思う。相手が攻め込んで、自分が我慢する展開もあるし、逆にバラート選手が疲れてきたところで自分がグッと攻める展開もあるだろう。激しい試合になると思う。
苦しい試合になるという覚悟はある。最後は、フィニッシュだ。打撃かサブミッションでフィニッシュする。そうすれば、自分の次の目標とか、ゴールに向かって良いアピールになると思うので、狙っている。
ONE: この階級についてどう思うか?
猿田: ジャレッド・ブルックスが来て盛り上がってきた。彼のことは、5、6年くらい前から注目していた。自分がストロー級に階級を落として間もない時、修斗のチャンピオンにもなっていない時に(所属ジムの)「和術慧舟會HEARTS」で練習したことがあった。本当に衝撃を受けたし、こんなに強い奴が同じ階級にいるんだと思った。そんな風に思ったのは初めてだった。
去年(ブルックスが)ONEに来ると聞いて、運命を感じた。約5年前に衝撃を受けて、あんな奴がいるんだとターゲットにしてきた相手だったので、彼とやるチャンスがあるんだったら、やらないと終われないという気持ちがある。
ONE: 「ONE X」であるロッタン対DJについて。
猿田: 試合自体は企画としては面白いと思う。もちろん真剣勝負だが、新しい企画、スーパーファイト、ドリームマッチは盛り上がると思う。そういうのは日本人も好きそうだと思う。
ロッタンはガンガン前に出ていくと思うが、DJはステップワークを使って上手くいなしていくのではないか。第2ラウンドにテイクダウンしてグラウンドになったら(ロッタンを)極めると思う。
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